日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
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19 巻, 2 号
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原著
  • 慢性疾患患者別アプローチ
    杉本 ゆかり, 中村 博, 真野 俊樹
    原稿種別: 原著
    2018 年 19 巻 2 号 p. 49-58
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     本研究は、診療所スタッフのスキルが慢性疾患患者の患者満足、継続受診意向、他者推奨意向に及ぼす影響について疾患別に分析したものである。この研究の特徴は、診療所の患者を対象とした研究であり、医師だけでなく看護師や医療スタッフのスキルの影響について分析し、更には、慢性疾患を疾患別に分けて分析したことである。

     スキルの観測変数は「知識・技能」「治療に関する説明」「態度」とし、医師のスキルのみ「精神的苦痛の軽減」を含めた。慢性疾患は循環器、内分泌代謝、脳血管、整形外科を選定し共分散構造分析により因果関係を確認した。

     調査は慢性疾患で診療所に通院する20歳以上70歳未満の男女一般生活者を対象とし、インターネットを利用したWeb質問紙により実施した。有効回答は541人(37.0%)であった。

     分析の結果、全疾患で医師のスキルは患者満足に影響を与え、患者満足は他者推奨意向を媒介して継続受診意向に影響を与えていた。しかし、看護師のスキルは患者満足に対して有意に影響しなかった。疾患別にみると整形外科疾患は患者満足が継続受診意向に対して有意な影響はなく、循環器疾患は医療スタッフのスキルが患者満足に対して有意な影響ではなかった。

     患者満足に影響を与える医師のスキルは、循環器疾患は「医師の態度」、その他疾患は「精神的苦痛の軽減」が最も重視される要因であった。一方、医療スタッフのスキルは全疾患で「医療スタッフの態度」が最も重要な要因となった。

  • 須佐 公子, 郷原 志保
    原稿種別: 原著
    2018 年 19 巻 2 号 p. 59-64
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     本研究は、介護老人福祉施設に勤務する看護職の職務上ストレス因子を明らかにし、職務上ストレス因子とバーンアウトとの関連を明らかにすることを目的とした。全国の介護老人福祉施設に勤務する看護職1000名に対し、郵送法による質問紙調査を実施した。その結果、職務上ストレス因子として、『仕事の量的・質的負荷』、『入所者・家族とのコミュニケーション』、『職場内の人間関係』、『他職種との連携』、『医師との関係』、『対応の困難』の6因子が抽出された。クロンバックのα係数が、0.524〜0.852であったことより、信頼性は確保されたと考える。また、職務上ストレス因子とバーンアウト下位尺度については、『仕事の量的・質的負荷』と「情緒的消耗」(オッズ比3.464倍)と、『職場内の人間関係』と「情緒的消耗」(オッズ比1.647倍)および「脱人格化」(オッズ比4.502倍)、『入所者・家族とのコミュニケーション』と「個人的達成感」(オッズ比1.573倍)の関連が認められた。

     これらより、介護老人福祉施設に勤務する看護職の職務上ストレスによりバーンアウトになるリスクが高いことが示唆された。この背景には、介護老人福祉施設の入所者の状況や職場環境などが影響することが考えられ、職務上ストレスの低減の方法を検討しバーンアウトを防いでいくことが必要と考える。

事例報告
  • 東郷 えりみ, 岡本 泰岳
    原稿種別: 事例報告
    2018 年 19 巻 2 号 p. 65-68
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     トヨタ記念病院では退院遅延患者に対して、医療ソーシャルワーカーと地域連携室の看護師(以下、連携チーム)が関わり退院支援・退院調整を図っているが十分ではなかった。連携チームがこれまでより更に適切な時期に効率よく本業務に介入するには、有用な患者情報が必要だった。そこでデータ作成を業務としている診療情報支援グループは、退院支援・退院調整を必要とする患者リストを定期的に作成し、患者情報の提供を行うこととした。患者リストは、連携チームが早期退院を見据えた介入をしようと試みたため、長期入院の傾向調査後、拡大的に作成し提供を開始した。方法は、情報の抽出条件を入院20日以上の全患者とし、退院遅延要因の事前調査(現場看護師が容易に回答する形式)情報を添え、電子媒体で週1回リストアップした。結果、連携チームの適切な介入時期が図られるとともに、病棟スタッフの退院支援・退院調整への関心が高まった。そして、リストアップ開始後10ヶ月間で退院支援計画書作成数は164件増加した。また、全入院患者数に対する30日以上の入院患者においては62件減少した。この結果より、退院支援・退院調整において患者リストは、有用性のある診療情報であった。

  • 岩崎 麻里, 鵜飼 恵理子, 小口 淳美, 前川 和廣, 松村 達, 坂巻 弘之
    原稿種別: 事例報告
    2018 年 19 巻 2 号 p. 69-73
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     地域包括ケアシステムに参画する保険薬局は、服薬指導に加え、必要に応じ食事に関わる指導も求められる。そこで、薬剤師と管理栄養士の連携が患者への質の高い指導に及ぼす可能性について検討することを目的にアンケート調査を実施した。調査は株式会社フォーラルのすべての薬剤師、管理栄養士を対象に行った。店頭での栄養相談では1週間に、薬剤師は27.8%、管理栄養士は52.6%実施していた。しかしながら、在宅での管理栄養士の関わりは限定的であり、在宅現場での薬剤師と管理栄養士の連携を促進するための制度的な対応も望まれると考えられた。

  • 上野 美由紀, 山田 和子, 森岡 郁晴
    原稿種別: 事例報告
    2018 年 19 巻 2 号 p. 74-80
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     医療事故を防止する要因に関する先行研究において、エラーによく気づくことのできる看護師の存在が認識されている。本研究は、精神科病院における看護師を対象に自己および他者のエラーに気づく看護師の要因を明らかにすることを目的とした。対象者は、精神科単独の2病院の臨床経験3年目以上の看護師217名であった(精神群)。無記名の質問紙調査を実施し、自分自身と他者のエラーに気づいた経験、看護業務の中で起こしたエラーの経験(臨地エラー)、社会的スキル、患者安全文化、属性を尋ねた。有効回答率は75.6%であった。対照群は、一般の11病院に勤務する3年目以上の看護師164名とした。エラーに気づく関連要因の検索には、多重ロジスティック回帰分析を用いた。精神群で自分自身のエラーに気づいた者(76.8%)は、対照群(70.7%)に比べて高かった。他者のエラーに気づいた者(87.2%)は、対照群(86.6%)と同様であった。精神群における自分自身のエラーに気づく関連要因は「臨地エラーの経験がある」、「アクシデントの経験がある」であった。他者のエラーに気づく関連要因は「管理者である」、社会的スキルの下位尺度「高度のスキルが低い」であった。精神科病院における安全対策をすすめるためには、エラーとアクシデントの経験を活かし、看護師の管理職が有するような安全意識を全職員がもつことが肝要であることが示唆された。

  • 森田 曜
    原稿種別: 事例報告
    2018 年 19 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     2011年肺炎が疾患別死亡の第3位となった。入院をともなう肺炎の50%以上が誤嚥性肺炎であるとも報告されている。今後の超高齢社会において、その予防は必要不可欠である。近江八幡市立総合医療センター(以下当センター)においても誤嚥性肺炎患者は経口摂取困難となることが多く対応に苦慮している。そのため、2014年度より摂食嚥下チームにて誤嚥性肺炎予防の取り組みを開始した。最初に誤嚥性肺炎患者数を集計し、現状を検討した。その結果から、誤嚥性肺炎患者の嚥下機能、栄養状態は悪く、その予防に関しては地域と連携した取り組みの重要性が明らかになった。また、当センターにおいて誤嚥性肺炎再発のリスクが高いにも関わらず口腔ケアが必要な患者の評価・抽出基準が曖昧であった。従ってこれらの課題をふまえ、口腔内評価スケールの導入・フローの作成、地域公開型の摂食嚥下勉強会の開催、特別養護老人ホーム(以下特養)での摂食嚥下アンケートを実施した。その結果、口腔内評価スケールに基づくフローの作成により、口腔ケアが必要な患者の抽出基準が明確となった。摂食嚥下勉強会の開催により、誤嚥性肺炎予防に対する啓発ができた。摂食嚥下障害に対するアンケートでは、専門的な嚥下評価に対するニーズが高いことが判明した。今後は口腔内評価精度向上、早期から嚥下障害患者を抽出する取り組みを、当センター外では特養での具体的な取り組みを開始していく。

  • 平泉 宣
    原稿種別: 事例報告
    2018 年 19 巻 2 号 p. 86-91
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     在宅療養者の併発感染症に対する初回投与抗菌薬として、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても抗菌作用をもつアミカシン・ミノサイクリン併用投与(AMK+MINO)を選択して在宅治療を行いその効果を検討した。過去3年間岩手県立山田病院で訪問診療対象となった在宅療養者292名(年齢45〜105歳、平均年齢84.7歳)のうち経過中細菌感染症を併発したのは113名あり、1〜2週間の抗菌薬在宅投与の延べ回数324回で1名当りの投与回数は平均2.9回であった。在宅療養者の併発感染症は肺炎など呼吸器系感染症202回(62%)と尿路感染症105回(33%)が多く、その他胆道感染症(胆嚢・胆管炎)、皮膚疾患(蜂巣炎・膿皮症・褥瘡)や腸炎などで、呼吸器系感染症では初回投与抗菌薬(AMK+MINO)151回、変更投与抗菌薬51回の投与であった。抗菌薬変更(36例)の理由は、炎症所見改善せず(11例)、耐性菌検出(24例)、薬疹(1例)であり、耐性菌の内訳はMRSA(9例)と緑膿菌(5例)が過半数を占めた。初回投与抗菌薬(AMK+MINO)は全抗菌薬使用量の75%を占めたが、在宅治療継続の結果14ヶ月以上に及び地域で MRSA 感染症がみられなくなり、また肺炎死亡例は3%にとどまった。アミカシン・ミノサイクリン併用投与を在宅療養者併発感染症の初回治療薬として選択投与するとMRSA感染対策や重症化予防にも有用となろう。

  • 松本 浩明, 奥田 敏勝, 髙栁 和伸
    原稿種別: 事例報告
    2018 年 19 巻 2 号 p. 92-97
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     病院薬剤師はこれまで以上に病棟業務やチーム医療での活躍が期待されている。しかし、従来から行ってきた業務を維持しつつ新たな業務に取り組むためには薬剤師の数が不足しており、十分な活動時間を得られていない施設も多い。倉敷中央病院も同様の問題を抱えていたが、従来行ってきた業務の一つである注射剤調剤業務を根本的に見直し、業務効率を上げることで新しい業務を推進できないか検討した。

     まず、従来の注射剤調剤業務について、Root cause analysis(RCA)法に倣い後方視的に業務の内容を細かく分析し、根本的に改善すべき課題を明確にした。その後、業務の標準化と効率化、在庫管理と物流プロセスの見直し、医療の質指標(QI)を用いた疑義照会の向上の取り組みを行うことで、注射剤調剤業務に必要な薬剤師数を27名から18名へと削減した。その結果として、病棟業務や外来化学療法センターの服薬指導などの新しい業務を推進することができた。加えて、在庫金額は約3,400万円減少し、疑義照会件数は2013年度の776件から2015年度には1,999件に増加した。

  • 鈴木 里奈, 河合 優年, 山本 初実
    原稿種別: 事例報告
    2018 年 19 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     これまで我々は、 ストレス自己統制尺度、 気分尺度、 心理特性、 ストレス値で構成した心理的バイタルサイン (Psychological vital sign:PVS© Mie-chuo MC) を心の健康度を表す指標として使用してきた。 一方、 厚生労働省は2016年度から従業員50名以上の事業所におけるメンタルヘルスチェックを義務化し、 職業性ストレス簡易調査票の使用を推奨している。 本研究では、 この職業性ストレス簡易調査票を新たな気分尺度として組み込んだ PVS セルフチェックシステムを開発し、 2016年11月に国立病院機構三重中央医療センター職員778名のメンタルヘルスを調査した。 結果は、 診療部、 看護部、 その他の医療職、 事務部の 4 部署別に、 一元配置分散分析と多重比較を用いて統計学的に検討した。 看護部では、 ソーシャルサポートが高く、 職場環境によるストレスは低いものの、 身体的脆弱性・心理的脆弱性・情動焦点対処の得点が高く、 心理的な仕事の量的・質的負担がイライラ感・疲労感・不安感・抑うつ感・身体愁訴などの自覚的な身体的負担に繋がっているものと推測された。

     簡易調査票はストレスの強弱を判断するのに優れているが、 ストレス自己統制尺度を含む PVS は職場環境改善の視点から、 コーピング方略を兼ね備えた実用性のあるセルフチェックシステムの一つであると思われた。

  • 武岡 良展, 鈴木 里奈, 瀬分 亮, 石橋 綾子, 成瀬 美恵, 田中 滋己, 河合 優年, 山本 初実
    原稿種別: 事例報告
    2018 年 19 巻 2 号 p. 103-107
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     我々は、ストレス自己統制尺度、気分尺度、心理特性、ストレス度の4つの尺度を心理的バイタルサイン(Psychological vital sign:PVS©Mie-chuo MC)と定義し、看護学生や卒業後就業した看護師の心の健康度の指標としてきた。本研究では、厚生労働省の職業性ストレス簡易調査票を看護学生用に修正した「看護学校生活ストレス簡易調査票(学校生活調査票)」の構成概念妥当性について検討した。学校生活調査票は、従来の気分尺度に強い相関を示し、これらの関係は、構造方程式モデリングによって3つの因果モデルとして示された。すなわち、看護学生の実習中の気分の変化について、不安が高いものほど、緊張・不安、抑うつ・落ち込み、怒り・敵意、疲労、混乱といったネガティブな気分状態が高くなり、活気は逆に低くなっていた。さらに、心理的ストレス反応の18項目に関する各尺度のCronbachα信頼度係数は高く、因子分析の結果からは、ほとんどの項目は尺度と因子が一致しており、各尺度の内的整合性や信頼性が良好であることが示された。今回の検証で、学校生活調査票の心理的ストレス反応は、従来の気分尺度と強い相関があり、その構成概念妥当性が証明された。

  • 中川 義章, 伊藤 道徳, 中川 義信
    原稿種別: 事例報告
    2018 年 19 巻 2 号 p. 108-114
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     国立病院・療養所はより効率的な運営を目指し2004年に独立採算型の独立行政法人へと移行し、2013年で10年が経過した。この間に5年ごとの経営計画を立て運営が行われてきた。第1期は設備投資の抑制と人件費投資により経常黒字病院の増加、第2期は設備投資の再開を行いつつ安定的な経営を成し遂げている。本研究では特に人件費投資の側面から、第1期、第2期の経営状況を医業収益および医業費用に関する経営上の背景を分析した。

     2004年度から2013年度まで取得可能な143病院の損益計算書等から人件費をベースとした分析手法を用い、国立病院機構が分類している6つの病院群に対する分析を行った。

     病床あたり人件費投資は6病院群全てにおいて継続した増加傾向が認められた。特に350床以上の一般病床の2病院群では常に増加していた。また、経営状況は一般病床を350床以上有する2病院群ならびに障害者医療中心に提供するグループで安定していた。一方、非急性期、特に精神科病院群では人件費とは無関係な変動が認められた。

     機構本部がコントロールセンターとしての役割を果たしつつ、病院ごとの独立採算を徹底し、人件費ならびに投資に関する多くの経営判断を経営責任者である病院長の判断にゆだねた結果により、多くの病院において良好な経営状況となったことが推測された。

  • 甲斐 幸子
    原稿種別: 事例報告
    2018 年 19 巻 2 号 p. 115-118
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     急性期病院における退院後の介護サービス等を見越した取り組みの評価として「総合評価加算」の改定がなされた。A病院では、2008年の診療報酬改定で新設された、後期高齢者総合評価加算の算定を行っていなかった。そのため、総合機能評価の導入により、入院前から退院後の生活を見越した介入を行うことで患者家族が安心して退院することができ、早期在宅復帰が可能になると考えた。また、この取り組みを確実に実施することで、総合評価算定件数が増加し経営に貢献できることを目的とした。確実かつ早期に計画が実行できるようプロジェクトチームを立ち上げ様式・活用方法を検討、研修会を開催しフロー図による情報共有を図った。使用後も問題点・不明点には即時に対応し、その都度正しい活用方法の説明と活用しやすいチェックシートへの様式変更を行っていった。その結果、患者の退院支援に対する問題点が明確化し、早期退院調整が実施できた。また、医療ソーシャルワーカー(以後 MSW と記す)や退院調整看護師の介入の有無が明確となり、入院前から総合機能評価を行うと同時に、家族構成や既往歴・生活歴などのデータベースの聴取も行ったことで、病棟看護師の業務負担の軽減にも繋がった。また、2014年11月に開設された術前支援センターにて予約入院患者に入院前から関わる事で、退院支援の必要性を入院時から予測することが可能となりよりよい退院調整へと繋げることができた。

  • 江川 伸子, 川島 いづみ, 坂倉 小夜子
    原稿種別: 事例報告
    2018 年 19 巻 2 号 p. 119-123
    発行日: 2018/09/01
    公開日: 2023/08/03
    ジャーナル フリー

     A病院では、新人看護職員を対象とした集合研修を実施しているが、技術に対する不安を持つ者が多い。そのため、2011年に新人看護職員の看護技術習得のための自己研鑽を支援する場として新人看護職員技術支援室「ひよっこクラブ」(以下「ひよっこクラブ」とする)を開設し5年が経過した。「ひよっこクラブ」の現状を知ることで、支援方法を見直しより良い支援を提供することを目的に、2015年度の新人看護職員45名を対象にアンケート調査を実施した。

     その結果、「ひよっこクラブ」での技術支援は、新人看護職員に肯定的に受け止められており、新人看護職員の自信につながっていることがわかった。さらに、「ひよっこクラブ」に参加することで、新人看護職員同士の仲間づくりや精神的支えにつながっていることもわかった。

     「ひよっこクラブ」 は、新人看護職員にとって意味を持つ場であることが確認できた。今後は、「ひよっこクラブ」をより有効に活用してもらうために、新人看護職員のニーズに合わせて開催期間や開催日数の柔軟な調整を行うことや、支援を受けることのできる技術メニューの提示など情報提供が望ましいことがわかった。次年度の支援に向けた改善点が示唆された。

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