日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
婦人科疾患における術前ヘパリンブリッジングのためのオプショナルパスの導入
緒方 聖友荒金 太小山 美晴寺崎 修司
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2018 年 19 巻 3 号 p. 151-156

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抄録

 基礎疾患や入院時合併症を有する手術患者に対して、主たる手術用クリティカルパス(以下パス)に加えて、基礎疾患に応じた個別の対応が必要となる場合がある。電子カルテには、パスに組み合わせて使用するオプショナルパスがあるが、熊本赤十字病院ではこれまで作成していなかった。今回、術前の抗凝固薬のヘパリンブリッジングについて、多職種で協議の上、投与方法と指示を統一したオプショナルパスを作成し、使用したので報告する。

 これまでに9例の手術用パスとオプショナルパスを併用した。オプショナルパスの導入によって、抗凝固薬の中止と再開が確実に行われ、ヘパリンの投与方法が統一された。看護指示も統一し、同時に作成した患者用リーフレットにより患者ケアの向上に繋がり、標準化された医療提供が可能となった。一方で、適切な活性化トロンボプラスチン時間の延長が得られなかった例があったこと、オプショナルパスの逸脱例の評価がなされていなかったことが課題だった。

 PDCA サイクルを回すことで、さらに医療の向上を目指したい。また、オプショナルパスは柔軟に運用が可能であり、主たるパスと組み合わせて使用することで、様々な疾患に対する標準化された治療の提供に努めたい。

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