日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
地域の医療事情に即した緩和ケア連携クリティカルパスの試み
山口 広之村岡 昌司福岡 秀敏徳永 陽子永尾 光子
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2021 年 21 巻 4 号 p. 210-214

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抄録

 高齢者の人口構成比率が非常に高い諫早総合病院(以下、当院)の医療圏においてがん死亡者数は今後全国平均を超えるペースで増加して行くと推定されている。しかし、緩和ケアの専門的施設は無く、在宅緩和ケアや在宅看取りに向けた地域連携体制の構築もほとんど進展が見られなかった。そこで、当院で普及に努めてきたがん地域連携クリティカルパスの経験をもとに、新たに当院独自の緩和ケア連携クリティカルパス(以下、緩和連携パス)を作製した。この緩和連携パスは術後再発がんの患者や根治的治療の見込みのない初発進行がん患者を対象とした。がん拠点病院と地域の連携医との間で共同診療を行いながら、できるだけ速やかに患者の苦痛に気付くことで細やかな緩和ケアが介入できるように設定されている。苦痛の再増強が進行した場合は緩和ケア調整入院などを行いながら患者の在宅生活を可及的に延長し、かつ可能なら在宅看取りにつなげようとするものである。これまで18例の進行がん患者においてこの緩和連携パスを適用して外来での共同診療を行ってきた。運用期間は2〜28か月(中央値4か月)で既に16名ががんで死亡した。このうち3名は連携する診療所で、1名は在宅で連携医による看取りのもと死亡していた。

 緩和連携パスは医療資源の乏しい地域でも在宅緩和ケアを充実させ在宅看取り率を上げて行くための有用な診療連携手段になるものと期待される。

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