医療マネジメント学会雑誌
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クリティカルパスへの薬剤師の関わり
飛野 幸子
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2001 年 1 巻 3 号 p. 190-192

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抄録

クリティカルパス (以下パスと略す) における薬剤師の関わりについて、当院での現状について報告する。当院では1996年より全病院的にパスに取り組んでいる。当初は看護部が主体であったが、パスがうまく機能するためにはチーム医療が不可欠であり、医師を中心に多職種による取り組みを開始した。薬剤師の役割は、安全で有効かつ経済合理性も考慮にいれた薬物療法をサポートすることである。最初に取り組んだのは、術後感染予防目的で投与される抗生物質の検討であった。その際EBMを活用し、文献検索と現状分析を行い、抗生物質投与に関する根拠を提示した。その結果、投与タイミングは術直前、投与薬剤は目標菌にターゲットを絞った第一または第二世代のセフェム系を原則とし、投与日数は短縮された。また、院内感染対策に対する意識も向上し、サーベイランスの動きも活発になった。
さらに、チーム医療が促進され、EBMに対する理解も深まりつつある。薬剤師にとっては、薬局業務の再構築のツールともなった。特に病棟業務において、医療現場のニーズに答えるために、たえず問題意識を持ち、実行可能な解決策を模索している。今後、パスを活用した薬剤管理指導業務記録の改善やDUE (Drug Use Evaluation) を試みたいと考えている。

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