医療マネジメント学会雑誌
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クリティカルパスのシナリオ効果
藤村 和宏
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2001 年 2 巻 2 号 p. 146-152

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抄録

医療サービスにおいて導入が進んでいるクリティカルパス (CP) はスクリプトの明示的なものとして機能することで、患者満足にポジティブな影響を及ぼすと考えられる。CPはその導入の背景から、コスト管理や活動の標準化の側面が強調されているが、それが適切に構築・導入されるならば、スクリプトが保有する3つの機能、すなわち台本機能、評価基準機能、予測性向上機能が働き、患者満足を向上させることにも貢献することが期待される。つまり、適切なCPは、患者が医療サービスのデリバリー・プロセスに適切に参加することを可能にするだけでなく、医療サービスを評価する適切な基準を提供することになるし、さらに患者の予測性を高めることになるために、患者満足にポジティブな影響を及ぼすことが考えられる。
この明示的スクリプトとしてのCPの患者満足に及ぼす効果を検証するために調査を行った。分析の結果、今回の調査に用いたCPは「評価基準機能」と「予測性向上機能」を発揮しており、患者満足に影響を及ぼしていることが明らかになった。それ故、医療サービスにおけるCPはコスト削減のツールとしてだけでなく、患者満足向上のためのツールとして適切に構築・管理される必要がある。

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