抄録
病院内における総合的患者安全マネジメントの観点から, 入院患者に対する誤薬予防のシステム構築の方法を検討した。各種の有効方策をリストアップした上で, 重要度と導入のしやすさから並べ直し, 投薬の業務過程 (プロセス) との関係を見直した。
院内誤薬予防システム構築にあたっては, 以下のような手順を推奨したい。 (1) 医療安全委員会を設置し, 報告制度により, システムの脆弱な部分を洗い出す。 (2) できればFMEA手法を使用して, プロセスごとの単位業務を解析する。 (3) 利用できる医療資源の多寡に関わらず, どの病院でも有効方策として,(1) 手書き転記の廃止,(2) 輸液ポンプ使用法,(3) 高リスク薬別途使用法,(4) 使用薬剤の限定,(5) (臨床) 薬剤師の参画, などをまず検討する。
また, オーダエントリ・システムなどの機械化を進めていく場合, 自動調剤や個人識別システムと効率よく連動させるためには,(製造元による) 薬剤のソースマーキングは必須なので, 早期実施が望まれる。