2002 年 3 巻 2 号 p. 284-288
病院内における総合的患者安全マネジメントの観点から, 入院患者に対する誤薬予防のシステム構築の方法を検討した。各種の有効方策をリストアップした上で, 重要度と導入のしやすさから並べ直し, 投薬の業務過程 (プロセス) との関係を見直した。
院内誤薬予防システム構築にあたっては, 以下のような手順を推奨したい。 (1) 医療安全委員会を設置し, 報告制度により, システムの脆弱な部分を洗い出す。 (2) できればFMEA手法を使用して, プロセスごとの単位業務を解析する。 (3) 利用できる医療資源の多寡に関わらず, どの病院でも有効方策として,(1) 手書き転記の廃止,(2) 輸液ポンプ使用法,(3) 高リスク薬別途使用法,(4) 使用薬剤の限定,(5) (臨床) 薬剤師の参画, などをまず検討する。
また, オーダエントリ・システムなどの機械化を進めていく場合, 自動調剤や個人識別システムと効率よく連動させるためには,(製造元による) 薬剤のソースマーキングは必須なので, 早期実施が望まれる。