医療マネジメント学会雑誌
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リスクマネジメントとしての褥瘡管理システムの構築
岡本 泰岳鵜飼 潤
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2002 年 3 巻 2 号 p. 289-292

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抄録

褥瘡発生と重症化を病院全体のリスクマネジメントとして位置付け, 褥瘡管理システムを構築した。システムは以下の6つの骨子 (1) 病院共通の褥瘡リスクアセスメント (一次判定と二次判定の2段階) の導入とそれに基づく褥瘡ケア基準の設定,(2) 褥瘡発生届けと体圧分散マットレスの中央管理体制の実施,(3) 低栄養患者に対する管理栄養士の介入,(4) 褥瘡治療におけるクリティカルパス (以下CP) の導入,(5) 重症化した褥瘡症例のインシデントレポート提出,(6) スタッフへの教育体制 (年6回の創傷ケアセミナー) の整備からなる。システム導入後の成果として,(1) 2段階の科学的なリスクアセスメントにより労力を最小限度にかっ偏りのない適切な予防対策とケアが提供された。 (2) 中央管理体制は院内褥瘡発生状況の正確な把握と体圧分散マットレスの適正配分および使用効率を高あた。 (3) 褥瘡治療CPの導入は治療の標準化と均一で高水準のケアを可能とし, 院日数を大幅に短縮させた。 (4) 院内褥瘡発生件数と重症褥瘡件数がともに減少した。病院として十分な褥瘡対策を講じるにはシステム作りと教育体制の充実が必要である。

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