医療マネジメント学会雑誌
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外来慢性疾患患者における投薬日数制限の緩和の影響
亀井 美和子恩田 光子
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2003 年 4 巻 3 号 p. 377-383

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抄録

【目的】平成14年4月、外来患者に対する薬剤の投与日数の制限が原則廃止されたことを受けて、本研究では、長期投薬に際する留意点等について検討するために、外来患者における薬の受け取り状況を分析した。
【方法】調査は、関西と北陸に所在する保険薬局チェーンの19店舗において、2002年5月中旬の一週間に来局した外来患者を対象として、自記式調査票を配布し、郵送または店舗内において回収した。分析には慢性疾患での通院者の回答を用いた。
【結果・考察】調査票の配布数は1,745通、回収数は1,226通であった (回収率70.3%) 。全回答者のうち、慢性疾患での通院者696人の回答を分析に用いた。大部分の患者 (85.3%) は、通院期間が1年以上であり、4月以降に投薬日数が増えた患者は9.8%であった。線形回帰分析の結果からは、「できれば受診せずに薬を受け取りたい」との要望に関わる要因として、回答者の年齢、薬または処方せんの受け取りだけの通院頻度、希望する1回あたりの投薬日数、薬の飲み忘れの頻度などがあげられた。また、服薬コンプライアンスには、回答者の職業、特定のいくつかの疾患、通院期間、薬の受け取りに関する選好が関わっていることが示唆された。これらより、単に患者の要望に対応する形での投薬日数の長期化は、薬物治療の質を低下させる恐れがあると思われた。

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