医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6793
Print ISSN : 1345-6903
ISSN-L : 1345-6903
独立行政法人国立病院機構大阪医療センターにおける外来化学療法室の運用と問題点
田中 登美宮下 まさみ繁浦 洋子田中 利夫里見 絵理子辻仲 利政
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 5 巻 2 号 p. 381-384

詳細
抄録
【背景】がん化学療法は, 入院から外来へとシフトしつつあり, 当センターでは2002年7月に外来化学療法室が開設した. 今回, 外来化学療法室開設後の動向および問題点を検討した. 【方法と結果】治療ユニットの月別利用総件数は, 開設時は132件, 2003年4月は227件, 12月は270件 (開設より延べ3,726件, 月別新規患者数: 9~26名) であった. 平均1日利用件数は, 開設時9.4件, 2003年12月は22.5件 (最大1日利用件数37件) であった. 診療科別利用件数は, 外科が3,042件, 次いで婦人科, 消化器科, 血液内科, 呼吸器内科であった. また投与経路別利用件数は, 持続点滴が3,298件, 次いで動注・IVHポート, 静脈注射であった. 血管外漏出を1件認め, 速やかに対応し保存的に加療の上軽快した. 多剤併用療法のGrade 3以上の有害事象に関しては緊急入院対応がとれた. 患者アンケートの結果, 治療環境に対しては十分満足しているという回答を得た. 現在, 外来治療前の入院情報が還元されていないこと, 応援看護師への教育が不十分なことが, 運用上の問題点としてあげられる. 外来化学療法室の開設により, 化学療法の安全性と快適性が保証された. しかし, 相互情報伝達および教育体制の強化が望まれる.
著者関連情報
© 医療マネジメント学会
前の記事 次の記事
feedback
Top