医療マネジメント学会雑誌
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重症心身障害児 (者) 病棟における2003/2004シーズンのインフルエンザの流行とその対応
入江 和子伊藤 道徳岩井 朝幸安永 律子大成 まゆみ森周 八重子
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2005 年 5 巻 4 号 p. 536-540

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抄録
当院では, インフルエンザ予防のために入院中の重症心身障害児 (者) (以下, 重心児と略す) に対して予防接種を実施してきたが, 2003/2004シーズンにおいてインフルエンザの病棟流行を認めた. そこで, 今後の重心児病棟でのインフルエンザ流行予防のために, 5個重心児病棟入院中の患者198名を対象に予防接種率, インフルエンザ罹患患者数患者発生時の対応, オセルタミビルの予防投与等について調査・検討を行った.
各病棟での予防接種接種率は, 80~100%であった. 全病棟でのインフルエンザ罹患患者数は62名であったが, 1個病棟において40名中32名と病棟内流行を認めた. この病棟での最初の患者の発生が地域でのインフルエンザ流行前であったため, 一般の感染症としての対応がとられ, 患者の隔離が遅れたことが病棟内流行の原因と考えられた. この病棟での経験から他の病棟では, 発熱患者を速やかに隔離したことにより流行を阻止できた. 発症前にオセルタミビルの予防投与を行った患者66名では, 服薬中の発症はなく, このことも流行阻止に効果があったものと考えられた. これらの結果から, インフルエンザシーズンでは地域での流行が認められる前であっても常にインフルエンザの可能性を考え, 発熱患者の迅速な診断・早期隔離等の対策とオセルタミビルの予防投与を行うことが病棟内流行の阻止に重要であると考えられた.
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