抄録
平成13年より職種横断的な栄養サポートチーム (以下NST) を稼働させ, 栄養障害患者への栄養介入と全職員に対する栄養管理についての啓蒙活動を行なってきた.NST業務においては, IT化した栄養サポートツールを活用することで, 栄養管理における質と効率性が向上した.さらに院内NSTホームページを開設し, 栄養管理に関するさまざまな情報の共有化に努めた.また, 院内感染対策チーム (以下ICT) との連携によって, 経腸栄養剤使用数の増加・中心静脈栄養件数の減少・抗菌薬使用量の減少を達成できた.慢性閉塞性肺疾患 (以下COPD) 患者に対して, おやつの追加と脂質・蛋白質を強化したCOPD食を開発・導入し, 患者の病状とQOLを改善することができた.
このような成果によって, NSTの院内的存在感は不動のものになった.しかし, 職員には栄養管理をNSTに依存する傾向が垣間見られ, NSTスタッフの負担は大きい.「ファインチームワークで支える恕 (おもいやり) のこころ」という院是のより一層の浸透とNSTクリティカルパスの電子カルテへの組み込みなど, 解決すべき課題は多い.