医療マネジメント学会雑誌
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6 巻, 2 号
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  • 芳賀 克夫, 宮崎 久義
    2005 年6 巻2 号 p. 388-394
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    EBMは1990年代に提唱された概念で, 最良の臨床アウトカムを得るために, 臨床研究データを最大限集めて診療に活用しようというものである. この目的は, アウトカムを重視するクリティカルパスと相通ずるものがある. 従って, クリティカルパスはEBMを実践する最良の場であると言うことができる. 臨床研究から得られるevidenceを考えた場合, 系統誤差 (バイアス) を常に考えなければいけない. 現在, バイアスを排除するために最も有効な研究デザインは, 無作為比較試験 (RCT) と考えられている. 本稿では, 外科手術後の管理法に関して, PubMedを用いたRCTの検索法と実際のRCTの結果を示す. このようにして集められたevidenceを充分に吟味して, クリティカルパスに取り込んでいけば, 医療の質の向上が期待できる.
  • 藤本 俊一郎
    2005 年6 巻2 号 p. 395-400
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
  • 勝尾 信一
    2005 年6 巻2 号 p. 401-404
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
  • 山内 豊明
    2005 年6 巻2 号 p. 405-407
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
  • アウトカム評価とバリアンス分析
    塩見 典子, 斉藤 秀之, 金森 毅繁, 酒井 芳美, 井上 喜美子, 柴田 靖
    2005 年6 巻2 号 p. 408-413
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    「軽症脳梗塞のリハビリテーション」, 「中症脳梗塞のリハビリテーション」, 「重症脳梗塞のリハビリテーション」の3種類のクリティカルパスを作成し, 2004年3月より導入した.効果判定と見直しを目的に, リハビリテーションクリティカルパス導入前年同時期33症例 (A群), リハビリテーションクリティカルパス導入直前32症例 (B群), リハビリテーションクリティカルパス導入後86症例中リハビリテーションクリティカルパスを使用した43症例 (C群) を対象とし, 臨床指標を比較した.同時に, リハビリテーションクリティカルパス使用状況についても調査した. C群の方がA, B群に比べ, 退院時のmRS (modified Rankin Scale), GOS (Glasgow Outcome Scale) およびFIM (Functional Independence Measure) 得点, 改善比率が統計学的に有意に良好であった (p<0.05).
    リハビリテーションクリティカルパス使用43症例中脱落は13症例であり, 原因は記入の不備であった.完遂例は30症例 (70%) で, バリアンスは時間スケジュールからの逸脱が多く見られた.また, リハビリテーションクリティカルパス使用開始直後から記載方法にばらつきがあり, リハビリテーションクリティカルパスに対するスタッフの認識の低さが明らかとなった.今後は多様なリハビリテーションクリティカルパスの検討や項目の選択が必要であると考えられる. また運用マニュアル等を作成しリハビリテーションクリティカルパス使用の標準化を図り, スタッフの理解や意識の改善, 他部門も含めて連携・協力が重要であると考えられる.
  • 湯浅 祐子, 梨本 篤
    2005 年6 巻2 号 p. 414-418
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    当院では予防的抗菌薬投与を以前の術後3日目までの投与から手術当日のみへと短縮した胃全摘術用クリティカルパスを使用している. また, 薬剤はフロモキセブ (FMOX) からセファゾリン (CEZ) に変更した.このクリティカルパスの妥当性について, 術後合併症 (特に感染症) を中心に比較検討した. 【対象】胃全摘術を受けたFMOX手術当日と術後3日目まで投与群75例 (A群), FMOX手術当日1日投与群59例 (B群), CEZ手術当日1日投与群25例 (C群) である. 【結果】1. 術後合併症および術後感染症の発症率では3群間に差は認められなかったが, C群が52%と高率であった. 2. 術後3日間の発熱推移は3群間に差は認められなかったが, 術後4日目以降の37.5℃ 以上の熱発症例数はB群が68%と高率であった. 3. 臨床検査値としてWBC, CRPの推移を比較検討したところ, WBCでは各群間に大きな差はみられなかったが, CRPはC群が高値を推移していた. 【結語】胃全摘術における予防的抗菌薬CEZの手術日1日投与方法は, 術後合併症および4日目以降の熱発症例数が多い傾向がみられた. しかし, 臨床的には許容範囲であり, 継続使用可能なクリティカルパスと考えられた.
  • 鈴木 祥司, 小関 迪
    2005 年6 巻2 号 p. 419-422
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    急性期合併症なく血行再建を施行した急性心筋梗塞患者の場合, クリティカルパスからの脱落およびクリティカルパス期間からの逸脱は少ないと予想される. そこで実際のバリアンスを分析し改善の必要性を検討した. 1年間で本院に入院した急性心筋梗塞症患者64例のうち, 急性期合併症なく血行再建を施行して2週間のクリティカルパスを用いた連続28例を対象とした. 2週間以内で退院した患者をA群 (n=18), 2週間を越えて入院した患者をB群 (n=10) とした. 両群間において患者背景, 最高血中CPK濃度, 責任冠動脈部位, 残存狭窄, ステント長および血行再建術を施行して24時間以後に発生した後期合併症を比較した. また, B群で実際のバリアンス理由を検討した. 全例でクリティカルパスからの脱落はなかった. A群と比べてB群では, 最高CPK濃度は有意に高く (A群: B群=1058: 2620IU/ml, p<0.0001), 残存狭窄は高い傾向にあり (p=0.069), ロングステントの使用頻度も高く (p=0.049), 後期合併症は有意に多かった (p<0.01). B群におけるバリアンス理由は, 一時的ペースメーカ挿入, 歩行障害, 薬剤性肝障害の合併があったが, 実際には追加検査および冠危険因子是正のための入院延長が多かった. 2週間を越えて入院を要した症例は, 梗塞巣が大きく, 後期合併症や残存冠動脈狭窄を認める重症例が多かった. しかし, 実際の入院期間の延長理由は検査待ちや冠危険因子是正が多く, 検査の効率化と患者教育が重要と考えられた. また, 梗塞巣の小さい症例ではさらに入院期間を短縮したクリティカルパスが使用可能と考えられた.
  • 下位尺度と項目の再設定と再検証: HPSQ-25からHPSQ-13へ
    尾藤 誠司, 鈴鴨 よしみ, 福原 俊一
    2005 年6 巻2 号 p. 423-428
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    平成14年にわれわれが作成した入院患者用患者満足度評価尺度であるHPSQ-25は, 信頼性・妥当性に優れた評価尺度であったが, 6つの下位尺度に関する因子構造分析の結果, 因子をよりシンプルなものに変更する必要性があることが示唆されていた.今回, HPSQ-25の再構築と, より簡便な尺度への質問項目削減を試みた. 関東地区の3医療施設における入院患者386名に対し再度HPSQ-25による患者満足度評価を行い, その後, 一定のルールを用いて項目の削減を行った.その結果, 前年度で問題とされていた4つの因子はすべて “スタッフと患者の問のコミュニケーション” という1つの概念に収束し, 4つの因子における合計17の質問項目は6つの質問項目にまで収束させることが可能であった.その結果, 新たに再構築された入院患者用患者満足度評価尺度は, 13項目3下位尺度のより簡便なものとなった. 新たな尺度の信頼性・妥当性の検証も行い, 満足すべき結果を得ることができた.
  • 大重 育美
    2005 年6 巻2 号 p. 429-432
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    リンクナースは感染管理のために各部署と感染管理チーム (Infection control team; ICT) を仲介する役割の看護師である.リンクナースの活性化のために感染管理に関する4っのワーキンググループを作成し, ICTの仕事の一部を主体的にリンクナースが行うように変更した.このワーキンググループ導入前後でのリンクナースの感染管理に対する意識調査を行った.
    リンクナースになる前に感染管理に興味があった者は11人中6人であったが, リンクナースになることで感染に対する意識変化があったと殆どのリンクナースから解答があった.またワーキンググループ導入はリンクナースに仕事現場での負担増を与えているものの, その有効性に高い評価を下している結果が得られた.さらに, ワーキンググループ導入による具体的な実践活動後では, 11人中10人のリンクナースで更なる意識の変化があったことから, リンクナースになるだけでは役割認識が不充分であったことを証明する結果が今回の調査で得られた.
  • 恩田 光子
    2005 年6 巻2 号 p. 433-439
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    介護保険制度の導入前後での薬局業務の実施状況 (積極性) の消長とその影響要因について検討し, 薬局・薬剤師の機能を地域で有効活用するための施策を考究することを目的として, 大都市近郊都市の薬局を対象に自記式調査を実施した.薬局業務は「調剤 (広義) 」, 「保健・福祉サービス」, 「物品供給」の3因子で構成されていた.介護保険制度の導入前後において, 薬局機能に本質的な変化はみられなかったが, 導入後は保健・福祉関連サービスの実施状況 (積極性) は向上しており, 保健・福祉関連業務が薬局機能の1つとして明確化していることが示唆された.しかし, 相談応需体制の整備に課題が残っており, その対策として, 地域の健康増進活動や関連職種とのコミュニケーションの場への積極的な参加が有効であることが示唆された.
  • 関 千暁, 斉木 玲子, 板持 美由紀, 若月 俊郎, 谷田 理
    2005 年6 巻2 号 p. 440-443
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    山陰労災病院外科病棟では, 1999年よりクリティカルパスを導入し, 現在では19種類のクリティカルパスを運用している.最初外科医師と看護師でクリティカルパスを導入し, その後薬剤師・栄養士・検査技師などの参加によるチーム医療への協働へと発展してきている. この5年間で医師, 看護師によるクリティカルパス作成・導入 (第1期) から始まり, 病院のクリティカルパス委員会発足 (第2期), 他職種の参加・チーム医療の導入 (第3期), チーム医療の充実 (第4期), チーム医療の拡大 (第5期) と発展を続けている. クリティカルパス導入により医療チーム間のコミュニケーションが図れ, 医療チームの連携を強めるとともに各職種の役割, 責任が明確になり, 医療, 看護ケアの質の向上が図れた. アンケート結果より, 患者の治療への理解が深まり治療参画の意識が高まったことがわかった. 外科病棟のクリティカルパスの取り組みは, 病院全体でのクリティカルパス推進の原動力となっているが, 各部署によりクリティカルパス使用状況には差がある. 今後病院全体でのクリティカルパス使用の推進, 情報, 記録の共有化や各職種アウトカムの充実, クリティカルパスのオーダリングシステム, 電子カルテへの取り組みなどを行うことによって更なるチーム医療の発展が期待できると考える.
  • 藤本 俊一郎, 鶴野 正基, 大塚 泰子, 香川 尋子
    2005 年6 巻2 号 p. 444-448
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    香川労災病院では1999年のクリティカルパスが導入後3年間はクリティカルパス勉強会を開催し, 140のクリティカルパスが作成された.肺血栓塞栓症予防法, 転倒・転落予防法, 抗菌薬の適正使用法の標準化を検討する際, 安全管理委員会・感染対策委員会などの他委員会と合同で行う会合の必要性を感じた.そこで2002年からは毎月クリティカルパス推進委員会と他委員会との合同のパス大会を開催することとした.2003年からはCQI (Continuous Quality Improvement) ・パス大会と名称を変更し, 現在までに35回開催された.一回会合で平均99名が参加し, 8.2題が発表された.発表の30%はクリティカルパスに関するもの, 30%は他委員会に関するもの, 40%はその他に関するものであった.現在では350のクリティカルパスが作成され, 他委員会とともに14個の標準化がなされた.さらにオーダリングシステム導入, 日本医療機能評価機構認定更新のための受審準備, DPC調査協力病院への参加への準備などの課題が発生した際にはそれらに関する発表が増加し, 病院全体で対応できた.
    CQI・パス大会は医療の質の向上, 医療の標準化, チーム医療の推進に有用であった.
  • 高橋 勇二, 小澤 幸子, 村木 ゆかり, 山本 功二
    2005 年6 巻2 号 p. 449-452
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    医療のリスクマネジメントにおける情報収集のひとつの方法が, インシデントレポートである.2002年度までは, 看護部がヒヤリ・ハット報告書を紙面で収集していたが, 2003年6月から, インシデントレポートを院内端末から電子入力するシステムを稼働させ, 対象も全職種に拡大したので, その効果について報告する. 2002年7月-12月の看護部のヒヤリ・ハット報告書と, 2003年7月~12月のインシデントレポートの集計を比較・検討した.電子入力化の効果としては, 1) 報告数が1367件から2177件と約1.5倍に増加した. 2) 報告職種が増え, 報告内容は多様化した.しかし報告職種の内訳は, 看護職が86.0%を占め, 医師・事務系・薬剤師からのレポートが少ない傾向があった. 3) 入力から分析・対応までが迅速化した. 27名の多職種からなるインシデントレポート検討委員会を立ち上げたことによって, 毎月350-400件のレポートの全てがチェックされるため, 対応が1カ月以内にとられることとなった. 今後の課題は, 収集した情報と対応策を全職員に向けて発信し, 院内全体の安全文化の醸成に寄与することと, 委員会が対応した事例のその後の効果を検証することである.
  • 荒木 幹枝
    2005 年6 巻2 号 p. 453-457
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    当院は, 医療の質向上を目指し, 国際標準化機構 (International Organization for Standardization: ISO) 9001の2000年度版を2001年5月11日付けで認証取得した.その過程で顧客重視, プロセスアプローチ, リーダーシップ, さらにPDCAサイクルによる継続的な看護の質改善がされてきた.このISO9001の不足部分を補う目的で病院機能評価を受審し, 2004年4月にVer4.0を認証取得した.今回, 両者の取り組みを比較検証してみた.その結果, ISO9001は難解な用語のため医療には敬遠されやすいが, 質マネジメントシステムの構築のためには有効である.又, 病院機能評価は具体的に表現され, 医療に特化しているため, 日々実施している業務の改善ができる.両者は目的ではなく質改善のための有効なツールであることが分かった.
  • 菊岡 純子, 香川 雅俊, 中村 佳代, 尾崎 由加里, 田岡 輝久, 中村 洋之, 砂川 正彦, 塩谷 泰一
    2005 年6 巻2 号 p. 458-463
    発行日: 2005/09/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    平成13年より職種横断的な栄養サポートチーム (以下NST) を稼働させ, 栄養障害患者への栄養介入と全職員に対する栄養管理についての啓蒙活動を行なってきた.NST業務においては, IT化した栄養サポートツールを活用することで, 栄養管理における質と効率性が向上した.さらに院内NSTホームページを開設し, 栄養管理に関するさまざまな情報の共有化に努めた.また, 院内感染対策チーム (以下ICT) との連携によって, 経腸栄養剤使用数の増加・中心静脈栄養件数の減少・抗菌薬使用量の減少を達成できた.慢性閉塞性肺疾患 (以下COPD) 患者に対して, おやつの追加と脂質・蛋白質を強化したCOPD食を開発・導入し, 患者の病状とQOLを改善することができた.
    このような成果によって, NSTの院内的存在感は不動のものになった.しかし, 職員には栄養管理をNSTに依存する傾向が垣間見られ, NSTスタッフの負担は大きい.「ファインチームワークで支える恕 (おもいやり) のこころ」という院是のより一層の浸透とNSTクリティカルパスの電子カルテへの組み込みなど, 解決すべき課題は多い.
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