抄録
手術術式および術後管理という診療工程がある程度画一化され, 術後経過という患者状態の変化が比較的一定している外科系疾患と異なり, 診断から始まって, 初期治療を行い, 患者の状態変化を見ながら治療方針を調整していくような内科系疾患の場合, 作業工程が複数ありかつ多様に遷移するため従来のような単一の時系列を持つ表形式のクリティカルパスでは対処しきれないことが多く, いわゆるバリアンスが発生する要因となる.
この問題を解決するために患者状態適応型パスでは作業工程を分割して細分化された各工程 (ユニット) 毎にクリティカルパスを作成し, 患者状態の変化に合わせて予め用意されたユニット間を移行しながら最終的なゴール (退院) へと向かう.あるユニット内での医療者の思考や行動を支援するツールがユニットシートである.
ユニット間を移行する際現ユニットの目標患者状態を満たしているかを判断し, その状態に相応しい次のユニットを選択する. この判断基準を移行ロジックと呼ぶ.すなわち, 日数ベースで進行する従来の表形式クリティカルパスと異なり, 患者状態の変化というアウトカムベースでの進行となる.
全ユニット間の位置関係を表示するマップを臨床プロセスチャートと呼ぶ. これは疾患毎の診療標準工程を俯瞰する情報を与えてくれ, 現在の患者状態が全工程のどの位置に存在するかを教えてくれる.ユニットシート, 移行ロジック, 臨床プロセスチャートが患者状態適応型パスを構成する3要素である.