日本医療マネジメント学会雑誌
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胸部外科疾患に対する包括医療制度の影響
鈴木 保之大徳 和之対馬 敬夫福井 康三福田 幾夫
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2006 年 7 巻 2 号 p. 304-308

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抄録

弘前大学医学部附属病院では平成15年6月より包括評価が導入された。今回この包括評価が胸部外科的疾患に対してどのような影響があるかを従来の出来高評価と比較検討した。平成16年4月から平成17年2月までに包括評価を行った胸部外科疾患185例を対象とした。全体で見ると従来の出来高評価より包括評価の方が6%多く算定されていた。各疾患ごとに見ると大動脈解離症例で保存的に治療を行った群を除いて、冠動脈バイパス術、弁膜症手術、大動脈弓部置換術、先天性心疾患根治術、肺がんに対する肺切除を行った例では包括評価の方が高く算定されていた。185例中包括評価が出来高評価を下回ったのは16例であった。これらの症例は術後の合併症による治療を必要とした例、腎不全の透析例、術前後で心臓カテーテル検査を行った症例、入院期間が短いために基本料が低く算定された症例などであった。術後合併症を生じないことが望ましいが、DPCの分類・基本料の設定など改善の余地があるのではと考えられた。

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