日本医療マネジメント学会雑誌
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がん化学療法時の食欲不振に対する特別食を用いた食事摂取支援
安武 健一郎大山 明子山内 健江角 誠三角 紳博灰塚 ふじ子早田 福子
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2006 年 7 巻 2 号 p. 309-314

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抄録

化学療法施行中の入院患者は、食事摂取量の減少により栄養不良に陥るリスクが高い。われわれは食欲低下時において食欲改善ができるように工夫した化学療法食 (Fit食) を作成し、その効果を検討した。化学療法を行う食欲不振患者13例を対象とし、Fit食を用いて摂取支援を行った8例をFit食群 (F群)、通常の食事を用いて摂取支援を行った5例を対照群 (C群) とした。Fit食は、においが少なく喉ごしが良い食品・調理法を使用し、熱量1,500kcal、炭水化物245g、蛋白質50g、脂質35gに調整した。栄養評価としては、経口摂取熱量を食事記録法にて算出し、血液学的栄養指標として食事摂取支援前後の血中トランスサイレチン、アルブミン、総リンパ球数、コリンエステラーゼを測定した。さらにF群では食事の摂取状況や満足度等に関するアンケート調査をFit食投与終了後に行った。初回訪問時の経口摂取熱量は両群問に差を認めなかったが、介入後はF群1156±259kcal、C群882±279kcalとF群が有意に高値で、基礎代謝熱量に対する経口摂取熱量の充足率はF群94%、C群79.7%とF群でほぼ充足した。血液学的栄養指標は両群間に差を認めなかった。アンケート調査結果では、Fit食は食べやすく、嘔気などの症状も緩和され、満足度は高かった。化学療法食を用いた食事摂取支援は、患者の食欲不振を改善し、食事摂取量の増加に有効であった。

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