抄録
宇部リハビリテーション病院 (以下当院とする) は435床の介護療養型病院で、日常生活動作に介護を必要とし、認知能力が低下した高齢の患者が多いことが特徴として挙げられる。当院の過去のヒヤリ・ハットおよび医療事故報告では転倒・転落 (以下転倒とする) の報告が最も多く、転倒した患者の心身状態では身体能力の低下および認知能力の低下が影響している。そこで、立位、移行、認知の項目を組み合わせてレベル1から7に分類した転倒・転落フローチャート (以下フローチャートとする) を作成し、フローチャートレベルと転倒の関連を調査した。その結果、不安定ながら移動ができ、認知能力の低下があることが転倒の要因となることがわかった。
今回、性別、年齢、フローチャートレベル、障害老人の日常生活自立度 (以下自立度とする)、転倒に影響すると考えられる薬剤の服薬状況など複数の要因と転倒との関連を分析した。その結果、年齢は65歳以上、フローチャートレベルは1から3で、特に自己のレベルを理解できずに這行する状態、自立度は日中は寝たり起きたりの状態、服薬は筋弛緩薬を服用していることが当院の転倒要因となることがわかった。今後は、これらの転倒要因を基にアセスメントスコアシートなどを作成し、各患者に応じた転倒予防対策を実施する。