日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
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8 巻 , 3 号
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  • 野村 一俊
    2007 年 8 巻 3 号 p. 408-413
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    診療報酬上の評価が行われたことにより地域連携クリティカルパスの作成活用が広がっている。地域連携クリティカルパスの活用により連携医療の質と効率の向上を図るためには、クリティカルパスの原則に則り作成・運用することが肝要である。地域連携クリティカルパスの必要条件を踏まえ作成手順に沿って開発され運用されている大腿骨頚部骨折シームレスケア研究会 (熊本市) の地域連携クリティカルパスの実際とその活用効果を紹介した。
  • 藤本 俊一郎
    2007 年 8 巻 3 号 p. 414-419
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    2005年11月に香川県の中讃・西讃地域で設立したシームレスケア研究会で脳卒中地域連携クリティカルパスを作成し、運用している。地域連携クリティカルパスへの記載を標準化するために、地域全体で共通のリハステップと評価法を用いることとし、記載もpull downメニューを用いて共通言語で行えるようにした。また連携クリティカルパスへの記載内容が充実したため看護添書とリハビリテーションの添書を廃止した。シームレスケア研究会の活動は多職種医療者間のヒューマンネットワークの構築に有用であった。
    現在地域連携クリティカルパスは円滑に運用されているが、さらに下記のような新たな対応を行なっている。1) 中讃・西讃地域に加え、高松・東讃地域でもシームレスケア研究会を設立し香川県全体で共通の脳卒中地域連携クリティカルパスを使用できる環境を整えた。2) より容易にデータの分析のため、また地域連携クリティカルパスソフトの機能を十分に利用するため、セキュリティーが確保されたK-MIX (Kagawa Internet Medical Exchange) を用いたインターネットを用いた運用を可能とするシステムを構築中である。3) 新たに在宅地域連携クリティカルパスを作成した。4) 厚生労働省から都道府県への通知に対応して、通常の地域連携クリティカルパスへ入力した情報から自動的に脳卒中医療体制の指標を抽出できるようソフトを改定している。
  • 佐藤 靖郎
    2007 年 8 巻 3 号 p. 420-426
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    胃・大腸がん術後地域連携クリティカルパスのstage I、II、IIIの患者を対象に国立病院機構横浜医療センターと済生会若草病院において、それぞれ延べ33施設 (153名)、3施設 (5名) と連携を行った。国立病院機構横浜医療センターでの153名のうち、7名が再発し、そのうち5名が診療所で再発診断を受けた。患者アンケートによる地域連携クリティカルパス導入前後の調査により、待ち時間57分、総滞在時間105分、通院時間31分の節約効果が示唆された。また、診療報酬においては、地域連携クリティカルパス導入前の病院で1179点 (N=9) であり、導入後の診療所では1931点 (N=10) であった。しかし、滞在時間や通院費用を考慮すると患者の自己負担が地域連携クリティカルパスによる診療所への通院で軽減されるケースもありうることも考えられた。病院側として地域連携クリティカルパス導入により、再来患者が減少すること、胃・大腸がんの手術症例増加傾向がみられた。以上より、胃・大腸がんの地域連携クリティカルパスは患者、診療所、病院の3者ともメリットがあると考えられる。
    今後は再発後の患者の対する適切な化学療法や疼痛ケア、地域電子クリティカルパス導入による情報共有の円滑化が望まれる。
  • 診療所における作成と使用経験
    宮澤 総介
    2007 年 8 巻 3 号 p. 427-431
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    経皮的冠動脈インターベンション地域連携クリティカルパス (PCI連携クリティカルパス) の原案作成はわれわれの診療所で行い、これに基幹病院の循環器科専門医が修正を、2004年より当院において試験的運用を開始した。その結果が基幹病院で行われる地域連携カンファレンスにて報告され、地域での複数の診療所への逆紹介の際に本クリティカルパスが送付されることとなった。現在30の診療所と連携を行っている。
    2004年2月より2006年7月までに、当院にてPCI連携クリティカルパスを使用して診療を行った症例は60例、年齢は70.8±10.0歳、男50例、女10例である。診断名は急性心筋梗塞18例、不安定狭心症21例、労作性狭心症20例、無症候性心筋虚血1例である。アウトカム達成率を調査すると、3ヶ月までの “副作用なくパナルジンを内服できる” については85%(51/60例) で達成、6ヶ月までの “運動負荷心電図で虚血所見がない” については90%(54/60例) で達成され、1年後の “心筋シンチグラムで虚血を認めない” については88%(47/53例) において達成された。PCI連携クリティカルパスは診療の迅速性、確実性、インフォームドコンセントの実践にとって有益であった。
  • 入江 克実, 浦川 博樹, 古賀 満明
    2007 年 8 巻 3 号 p. 432-437
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    高齢者は主病名に加えて種々の併存病名を有することが多く、日常生活動作 (ADL) の悪化を来しやすい。いわゆる介護難民が問題となる中で、ADL低下が在宅復帰を阻害することは認知されているものの、DPC診療に如何なる影響を及ぼすのか十分には検討されていない。今回、国立病院機構嬉野医療センターでDPC診療を受け退院した2058例を対象として、ADLと年齢・在院日数・転院頻度・DPC比率 (包括支払/出来高支払) との関連を検討した。必須入力項目であるADLスコアをBarthel Indexに換算し60点以下を要多介助群として解析した。加齢と共に退院時要多介助者は増加し、在宅復帰困難な転院頻度と強く相関していた。在院日数は入院時ADL障害例で有意に延長しており、肺炎・狭心症・脳梗塞など多くの診断群分類で同様の関連が観察された。多変量解析を用い特定入院期間など他の要因を補正してケースミックスで評価しても、要多介助群の在院日数は2.57日 (95% CI 1.30~3.84) 延長、DPC比率は0.047 (95% CI 0.020~0.067) 低下していた。ADL低下は経営指標に大きな影響を及ぼしていたが、現状のDPC制度ではADLによる損益が十分に補填されていない可能性が高い。この経営リスクを回避するには、ADL評価を積極的に活用する医療マネジメントが必要と思われた。
  • 平野 恭弘, 渡邉 里美
    2007 年 8 巻 3 号 p. 438-442
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    診断群分類別包括評価 (Diagnosis Procedure Combination: DPC) に対応すべくクリティカルパスを改訂することによって、質を落とさず、安全で効率的な標準的医療の実践が可能か、尿路結石症に対する体外衝撃波結石破砕術 (ESWL) のクリティカルパスを改訂し検討した。対象は2006年9月から2007年2月までに当科でESWLのクリティカルパスを適用した79症例で、内訳はDPC導入以前から使用していたクリティカルパスを適用した63例 (従来型適用群) とDPCに対応すべく改訂したクリティカルパスを適用した16例 (DPC対応型適用群) である。両群において従来の出来高算定方法による診療報酬とDPC導入後の実際の診療報酬との比較を行った。また、両群における医療の質と安全性および効率性にっいて比較検討した。従来型適用群ではDPC導入後の診療報酬は、出来高算定方法による診療報酬に比べ有意に減少していた。DPC対応型適用群の診療報酬は出来高算定方法による診療報酬と有意差を認めなかった。DPC対応型クリティカルパスは従来型クリティカルパスと比べ、検査・投薬を削減したものの、医療の質や安全性を損なうことなく、むしろ効率的医療が可能だった。患者に不利益にならないことが大前提ではあるが、医療の効率性を追求していくことは必要であると思われた。
  • 「岐阜地域医師会連携パス」作成と運用の試み
    高橋 健, 小林 成禎, 広瀬 洋, 杉山 恵一, 高井 國之, 川口 雅裕, 白鳥 義宗, 野田 俊之, 冨田 栄一
    2007 年 8 巻 3 号 p. 443-447
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    岐阜地域は、岐阜市と近隣医師会が地域診療を担当し、中核となる病院が複数設置された人口約80万人の医療圏である。この医療圏において各々の病院で一疾患に対し、異なる様式の地域連携クリティカルパスが運用されると、複数病院と連携しているかかりつけ医には不都合である。このため、岐阜地域の既存の連携体制を基に、2006年8月、各病院と岐阜市医師会の連携を担当する医師、看護師、医療ソーシャルワーカー、事務職を中心とした岐阜医療連携実務者協議会を設置し、統一地域連携クリティカルパスを作成し運用する試みを行った。
    連携ネットワーク構築を先行した展開において、協議会が各病院の専門医の意向を確認し、地域連携クリティカルパスの作成対象疾患をウイルス性慢性肝炎と心筋梗塞とした。続いて、両疾患の専門医と、院内クリティカルパスの専門グループの参加を得て、両疾患地域連携クリティカルパスのワーキンググループを立ち上げ、統一規格の基で地域連携クリティカルパスを作成し、2007年5月、「岐阜地域医師会連携パス」として岐阜地域のかかりつけ医に向けて広く公開した。
    「岐阜地域医師会連携パス」の目的は、対象疾患の安定維持と異常所見の早期発見、役割を分けた地域完結型医療の確実な実施、ならびに質の保持された地域における医療の均一化とした。地域連携クリティカルパスの評価と改定は、各ワーキンググループが行い、連携部門は運用の支援・モニターと、ネットワークの維持・安定を担当することとした。
  • 心臓カテーテルチェックシートの活用
    山田 雅子, 森川 裕子, 井上 和也, 坂上 紀子, 藤野 晋
    2007 年 8 巻 3 号 p. 448-453
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    今日、患者主体の医療実現に向け、各医療機関でさまざまな取り組みがなされている。その中でクリティカルパスにおいては、患者の意見や要望を盛り込んだ内容にすることが求められている。
    当院でも様々なクリティカルパスを使用しているが、医療者本位に作成したものが多いことから、今回、当循環器科では、患者の意見をもとに心臓カテーテルのクリティカルパスの改善に取り組んだ。
    50名の患者の協力を得て、意見を調査したところ、1) 文字の大きさや説明がわかり難い 2) 看護師の説明が不十分ということで、1) については、文字の大きさや説明の表現方法、クリティカルパスの様式を工夫することで改善した。また、2) については、クリティカルパスの説明や確認、日々のアウトカム評価に患者の参加を試みた。院内看護師にアンケート調査を行った結果、クリティカルパスの運用面での問題があるが、アウトカム評価に患者が参加する提案については賛同が得られた。
    これらをもとに、アウトカム評価を患者とともに行うツールとして、心臓カテーテルクリティカルパスの「チェックシート」を作成した。50名の患者に使用した結果、多くの賛同が得られたが、一部の患者から否定的な意見もあった。これらをふまえ、個々の患者に応じたチェックシートの活用が今後の課題となった。
  • 一次救急診療における医療安全管理の実践
    舘野 昭彦, 小林 美智子
    2007 年 8 巻 3 号 p. 454-457
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    小児内科を対象とした一次救急診療所である印旛市郡小児初期急病診療所における医療安全管理に関する取組みについて報告した。医療安全管理室の設置、報告書の作成、ワークショップの開催などを通して周知徹底を図ったが、医師の認識が低いことが最も重要な課題であった。当診療所は常勤のスタッフが存在せず、所属の異なる種々なスタッフで構成されており、今後もチーム医療向上のための努力が必要である。幸いに医療事故・過誤は経験していないが、報告書におけるインシデントおよびトラブルの解決などにより当診療所のさらなる成熟を望みたい。
  • 転倒・転落要因の分析
    松村 瞳, 大崎 清美, 松冨 知子, 湧田 加代子
    2007 年 8 巻 3 号 p. 458-462
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    宇部リハビリテーション病院 (以下当院とする) は435床の介護療養型病院で、日常生活動作に介護を必要とし、認知能力が低下した高齢の患者が多いことが特徴として挙げられる。当院の過去のヒヤリ・ハットおよび医療事故報告では転倒・転落 (以下転倒とする) の報告が最も多く、転倒した患者の心身状態では身体能力の低下および認知能力の低下が影響している。そこで、立位、移行、認知の項目を組み合わせてレベル1から7に分類した転倒・転落フローチャート (以下フローチャートとする) を作成し、フローチャートレベルと転倒の関連を調査した。その結果、不安定ながら移動ができ、認知能力の低下があることが転倒の要因となることがわかった。
    今回、性別、年齢、フローチャートレベル、障害老人の日常生活自立度 (以下自立度とする)、転倒に影響すると考えられる薬剤の服薬状況など複数の要因と転倒との関連を分析した。その結果、年齢は65歳以上、フローチャートレベルは1から3で、特に自己のレベルを理解できずに這行する状態、自立度は日中は寝たり起きたりの状態、服薬は筋弛緩薬を服用していることが当院の転倒要因となることがわかった。今後は、これらの転倒要因を基にアセスメントスコアシートなどを作成し、各患者に応じた転倒予防対策を実施する。
  • 宮田 完志, 牧野 恵美
    2007 年 8 巻 3 号 p. 463-467
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    患者誤認・手術部位誤認の根絶を目標としてチェック表の作成、スリッパ履き替えの中止、歩行入室の導入等を実施した。手術室内の問題としてとらえず病棟→手術室→病棟と途切れのない対策と、患者の視点を考慮することを基本の姿勢とした。院内感染防止対策委員会や医療安全管理委員会の協力、更に他施設の経験や知識も参考にしながら目標を設定し実行した。時間をかける必要があるものは、コンセンサスが得られるまで十分な議論の時間を設けた。当初懸念された感染問題もSSIサーベイランスの結果ではこれを機に徹底された手術3時間毎の抗菌薬投与の効果かJANISのSSIのデータよりも良好であった。結果として調査期間中のインシデント・アクシデントレポートが1件あったものの事故は未然に防ぐことができたので上記の対策は有効と考えられた。現在、電子カルテ導入を目前にして、電子媒体を使用したより高い安全体制の構築を図るべくシステムを設計中である。
  • 加藤 知次, 伊藤 誠一
    2007 年 8 巻 3 号 p. 468-473
    発行日: 2007/12/01
    公開日: 2011/03/14
    ジャーナル フリー
    2003年に緩和ケアチームが活動を開始して以来、中京病院の麻薬処方量は大幅に増加した。それに伴い看護師業務も増大し、なかでも麻薬使用残量報告書の作成に時間を要するなどの問題点が出てきた。
    今回3枚複写で別々であった入院麻薬処方せん、麻薬使用残量報告書を、それぞれ2枚複写にして合体させ4枚複写に変更した。合体したことにより報告書の訂正数が減少し、経済面においても処方せんと報告書の使用金額が従来の2/3となった。また看護師を対象にしたアンケート調査においても看護師業務の軽減など良い結果を得た。
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