日本医療マネジメント学会雑誌
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電子カルテシステムの注射認証データを利用した注射インシデント分析
秋場 道代岩渕 勝好片桐 茂平川 秀紀
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2008 年 9 巻 3 号 p. 428-432

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抄録

山形市立病院済生館では2006年1月に電子カルテシステムを導入し、同時に薬剤の取り違えと患者誤認防止目的で注射自動払い出しシステムとバーコード注射認証システムを取り入れた。本システム導入後の8ヶ月間の注射に関するインシデントを、同期間のすべての注射実施認証件数197,121件と突き合わせて分析した。
当該期間の注射実施認証件数に対するインシデント発生率は0.049%であった。インシデントレベル別では、レベル0が0.009%、レベル1が0.033%、レベル2が0.007%で、レベル3以上はなかった。時間毎の発生率では7時、12時、17時、22時にピークがみられたが、実施件数のピークとは一致せず、実施件数の多寡は発生率に影響しなかった。薬効別にみたインシデント発生率では抗腫瘍薬が0.668%で最も高く、ついでホルモン剤の0.093%であった。ミキシングする薬剤数とインシデント発生率との関係では薬剤数が増えるとインシデント発生率が増加する傾向にあり、3剤以上のミキシングでは0.099%と有意に高率であった。通常オーダーと臨時オーダー間ではインシデント発生率に差はなかった。

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