2014 年 11 巻 p. 79-86
本研究の目的は、大学体育教員の職場環境の変化にともなう適応過程とキャリア意識について検討することである。30歳代後半から50歳代前半の大学体育教員14名を対象として、半構造化インタビューを実施した。聞き取った内容は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(木下;2003)を参考に、質問への回答を分析・解釈し、概念化を試みた。対象者は研究領域から「基礎系」と「応用系」の2群に分類し、それを独立変数として分析結果を検討した。
その結果、「大学体育教員になろうと思ったきっかけ」と「教育と研究の重要度」の2つの意識や態度は、基礎系と応用系という領域で内容が異なっており、それは研究領域の違いを反映しているものと考えた。一方、「職場環境の変化への対応」と「自分は体育教員だと思う瞬間」は、基礎系、応用系両群とも実技授業・指導に関する場面を多くあげていた。
以上のことから、一般体育実技指導に関するキャリア意識を持つことは、大学体育教員にとって重要ではないかと考えた。