2015 年 12 巻 p. 59-68
本研究は、北陸地方に位置する1大学において保健体育授業(必修科目)を履修した男子大学生を対象にPWC75% HRmaxの評価結果から異なる3つの体力層を設け、大学保健体育科目の履修意思、選択種目志向性、実技時の身体活動強度および授業の効果発現を解析した。
その結果、大学保健体育科目が選択であった場合、PWC75% HRmaxで評価した体力水準が高いほど大学体育が選択科目であっても履修する傾向が示された(p = 0.06)。一方、体育実技時におけるスポーツ種目(卓球、フレッシュテニス、ビーチボール、バドミントン、バスケットボール、バレーボール)の選択志向性(複数選択可)をみると、特にPWC75% HRmaxから評価した体力水準が低いほど卓球を選択する割合が高い傾向が示された(p = 0.07)。なお、バドミントンを選択した学生の割合は低体力層89.3%、中体力層70.5%、高体力層80.0%であり、他の種目よりも選択する割合が高い傾向にあった。また、実技時の心拍数測定の結果から、低体力層では高体力層よりも実技時(運動直後)の心拍数が高い傾向が示され、バドミントンまたはフレッシュテニス時における差異は有意であった(p < 0.05)。
体力層別にみた授業前後の運動行動変容ステージ、健康度・生活習慣尺度や因子(得点)および歩数調査結果は前期開講授業と後期開講授業で異なる傾向が示された。しかしながら、本研究では大学生活への適応としての健康度・生活習慣の変容を考慮した授業効果を抽出することが困難であったため、この点については更なる検討が必要と思われる。