大学体育学
Online ISSN : 2189-8766
Print ISSN : 1349-1296
ISSN-L : 1349-1296
原著論文
高齢者の軽度認知障がいを検出するステップパターン
重松 良祐
著者情報
キーワード: MCI, スクリーニング, 認知症
ジャーナル オープンアクセス

2016 年 13 巻 p. 3-8

詳細
抄録

家族や地域住民、あるいは高齢者本人に軽度認知障がい(mild cognitive impairment: MCI)を早期に見つけてもらうことは、認知症予防に貢献する。著者はスクエアステップという名称の新しい運動を開発した。スクエアステップは線で区切られたマットの上をステップしていく運動であり、廉価で導入しやすい。ステップの際のパターンは指導者によってデモンストレーションされる。パターンの種類は200あり、簡単なものから難しいものまである。認知機能の低い高齢者は正確にステップできないことが、先行研究で確認されている。本研究では、認知機能の低い高齢者、すなわちMCIの高齢者を検出できるスクエアステップのパターンを探索することを目的とした。65歳以上の高齢者168名にMoCAという認知機能テストを施し、併せてスクエアステップのパターン4種類をステップしてもらった(パターンAが簡単で、Dが難しい)。その結果、対象者の25%がMoCAで25点以下を呈し、MCIとみなされた。パターンの成功率はAで92.8%、Bで59.9%、Cで67.3%、Dで16.2%だった。MCI者の成功率は、いずれのパターンにおいても非MCI者よりも有意に低かった。性と年齢も含めたうえで決定木分析を施したところ、75歳以下にはパターンCを、76歳以上にはパターンBを提供したらMCIを検出できることが分かった。対象者全体のデータにこの結果を適用したところ、感度(69.0%)と特異度(76.2%)は高く、偽陽性率(23.8%)は低かった。結論として、この方法でMCIを検出できることが示された。自宅や地域でスクエアステップを実践している中でこれらのパターンを正確にステップできないと、家族・地域住民・本人が認知機能向上の必要性を認識することができる。

著者関連情報
© 2016 全国大学体育連合
次の記事
feedback
Top