2017 年 14 巻 p. 16-23
本研究の目的は,15週にわたる大学ゴルフ実技を履修する初心者のゴルフ能力を評価することであった。7番アイアンを用いた際の3次元ゴルフスイング動作は,授業期間中のゴルフ能力の向上を評価するために記録された。本研究におけるスイング分析項目は,1. ヘッドスピード,2. バックスイングのトップ時点での肩角度,腰角度, 3. バックスイングのトップ時点での捻転差とダウンスイング中の最大値,4. ダウンスイング中の捻転差の最大角速度であった。パッティングは,上り坂におけるターゲット(カップ)から3mの2箇所と下り坂におけるカップから3mの2箇所にて行った。パッティング能力の測定項目は,1. 左右方向の誤差距離,2. 前後方向の誤差距離であった。誤差距離は,カップの中心から測定した。全ての測定は,3回目授業(Pre)と15回目授業 (Post) に行った。その結果,ヘッドスピードは,授業期間で有意な増加を示さなかった。バックスイングのトップ時点での腰角度は,48.3±6.9degから56.6±7.7degへと有意な増加が認められた。しかしながら,腰の角速度は有意な増加を示さなかった。ダウンスイングにおける捻転差の変化率は,3.8±5.3%から5.8±9.6%と変化率は小さかった。3mパッティングテストを実施した結果,上り坂と下り坂においてPreからPostにおいて向上は認められなかった。この結果,15週のゴルフ授業を通じ,腰回転角度の変化をもたらすことは出来たが,ボールインパクトまでにその最大角速度を増加することは出来ないことを示唆した。加えて,パッティング能力は向上していなかった。これらの結果,ゴルフラウンドに対応出来るような技術水準に到達出来るような授業内容への改善を図る必要があることを示唆した。また学外実習を追加した大学ゴルフ実技のカリキュラム構成を推進することも重要であると考えた。