2017 年 14 巻 p. 24-34
首都圏に位置する一私立大学(S大学)では、従来は通年で開講されていた教養科目の「体育演習」が、平成26年度より新カリキュラムのもと、前期に導入教養課程として「スポーツリテラシー」に、後期に教養教育課程として「スポーツウェルネス」に再編された。本研究では、新たに配置された「スポーツリテラシー」と「スポーツウェルネス」を受講した学生にアンケート調査を行い、それらがどのような影響(インパクト)を与えられていたのか、ライフスキルに関する影響を主として検討し、今後の授業展開の再考に資することを目的とした。新カリキュラムにおける大学教養体育は、学生のスポーツ・運動の嗜好に影響を与えるまでに至らなかったが、運動の習慣化や、運動行動変容ステージを進める効果があることが示唆された。また、「スポーツリテラシー」においては「リーダーシップ」や「対人マナー」の対人スキルに、「スポーツウェルネス」においては「情報要約力」や「自尊心」の個人スキルに向上がみられ、授業目標に沿った授業内容であったことが示唆され、一定の評価が得られる結果となった。今後は、さらに将来を見据えたインパクトを残すためにも、より学生が授業に興味をもち、且つ授業目標を達成できるような授業となるよう、運営方法に更なる工夫が課題となる。