大学体育学
Online ISSN : 2189-8766
Print ISSN : 1349-1296
ISSN-L : 1349-1296
事例報告
学外活動を伴う集中型の大学体育授業が受講学生の社会人基礎力におよぼす影響:ゴルフ種目を対象に
金田 晃一引原 有輝
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 15 巻 p. 22-30

詳細
抄録

本研究では,ゴルフを題材にした大学体育授業が社会人基礎力に対してどのような影響をおよぼすのかを検討するために,週1回の学期授業として学内施設のみを用いて実施されるゴルフ授業と集中授業として宿泊を伴うラウンド実習を含んだ学外施設も利用して実施されるゴルフ授業を対象として比較・検討を行うことを目的とした.本研究の対象者は,学期授業として開講されるスポーツ科学「ゴルフ」の受講学生18名と,集中授業として開講される集中スポーツ科学「ゴルフ」の受講学生21名であった.いずれの授業においても3名でのグループワークを基本としたアクティブラーニングおよびPBL型授業を展開し,ゴルフスイングの技術習得を主な目的とした.また,授業中にはグループワークを活性化する目的でiPadminiおよびM-Tracerを使用したスイング分析を実施した.受講生には授業の前後に社会人基礎力評価シートを用いてアンケートを実施し,社会人基礎力を構成する12の能力要素について評価した.その結果,スポーツ科学を受講した学生は主体性,働きかける力,実行力,課題発見力,発信力が授業前と比較して授業後に高い値を示し,集中スポーツ科学を受講した学生はすべての能力要素について授業前と比較して授業後に高い値を示した.これらのことから,アクティブラーニングおよびPBL型で展開されるゴルフスイングの技術習得を主な目的とした授業は,受講生の主体性,働きかける力,実行力,課題発見力,発信力といった社会人基礎力を向上させる可能性が考えられた.さらに,宿泊を伴うラウンド実習を含んだ学外施設を利用して実施される集中授業として構成することは,受講学生の社会人基礎力を全般的に高める可能性があることが示唆された.

著者関連情報
© 2018 全国大学体育連合
前の記事 次の記事
feedback
Top