2018 年 15 巻 p. 31-45
現行の学習指導要領では中学校第1学年及び第2学年において,「ダンス」を含むすべての領域を履修することとなり,体育系大学の「ダンス」の授業においては,保健体育科教員免許の取得を希望する学生が多く履修している.教員養成を担う大学の授業では,「実践的指導力」の養成が求められているが, ダンス授業においても,示範等に必要なダンスの運動技能向上のみならず,技能評価力を育成することは必須の課題である.
本研究では,体育系大学のダンスの授業において,ICTを活用したダンス映像視聴・評価活動を取り入れた授業を行い,その実践と学習効果の可能性について検討することを目的とした.授業では,タブレット端末(iPad)を用いて動きを撮影し,撮影された映像を視聴しながら自分や仲間の動きについて省察を行った.また,授業映像を学内のe-learningシステムにアップし,授業ノートの作成を通して授業の振り返りを行った.その結果,ICTを活用したダンス映像視聴・評価活動を含む授業実践は,運動技能の改善や技能評価の理解に有効であり,授業の振り返りにおいても,授業内及び授業終了後においての指導内容の確認・活用,合意形成的思考の育成に貢献しうることが示唆された.また,ペアやグループでの課題解決型学習を積極的に取り入れることが,主体的態度や協力・公正的姿勢を育む上で重要であると考えられた.