2009 年 6 巻 p. 13-22
本研究は,大学体育授業における運動実施者の主体的な評価の違いと,感情の変化がどのように関係しているのかについて明らかにするものであった。調査対象者は体育実技の受講学生94名(男子48名,女子46名)で,彼らに対して運動前・後でPOMS,および,運動後に運動に対する主観的評価を実施した。主観的評価では,「運動量」「体力」「満足度」「楽しさ」「好嫌」「重要性」について,3段階で評価させた。全体では,緊張,抑鬱,敵意,混乱の否定的感情において運動の前・後間で有意な低下がみられた。さらに,各要因の影響について分析したところ,運動量では「適度」な運動量と感じた群は,肯定的な感情の向上と否定的な感情の低下がみられたが,「弱すぎる」と感じた群ではどの尺度においても変化はみられなかった。体力の要因では,「体力あり」群で変化がみられなかったのに対し,「普通」や「体力なし」群では,肯定的な感情の向上と否定的な感情の低下がみられた。また,楽しさの要因をみると,「楽しかった」群では肯定的な感情の向上と否定的な感情の低下がみられたが,「楽しくなかった」群では肯定的な感情の低下がみられた。これらのことから,感情の変化には,個人にとって適度な運動量であることと共に,運動に対する主観的な評価が大きく関与することが示唆された。