2009 年 6 巻 p. 23-31
本研究の目的は,大学体育の演習系の授業で人間関係が醸成されるかどうかを調べるとともに,人間関係の醸成に及ぼすと考えられる積極性と学生生活の楽しさの個人的属性要因の影響を調べることである.男子33名,女子87名の大学生を対象に,「健康・スポーツ科学演習」を通して「話をするようになった友人」と「行動を共にするようになった友人」の人数を前期授業で3回調査し,人間関係の醸成過程を調べた.その結果,積極的な者や学生生活を楽しんでいる者のほうが多くの人間関係を醸成しており,これらの要因は人間関係の醸成に調整変数の役割を果たしていることが示唆された.また,クラスごとに行われる演習の授業では人間関係の醸成はきわめて低く,複数の学部・学科の他クラスの学生と交流できる混合型の授業形態の必要性が提案された.最後に今後の課題として,根上(2008)の三元的相互干渉モデルに準拠し,演習科目の意義と学生の魅力ある授業づくりについて論じられた.