臨床で長期間に渡り脳性麻痺児・者の作業療法をおこなってきた中で,「成人脳性麻痺者は,OTに何を求めているのか。それに答えられているのか」を疑問に思うことがあった。この疑問を明らかにするために,成人脳性麻痺者3名と母親2名にインタビューを実施して,インタビューのデータに基づきOTに何を求めているかを検討した。その結果,作業療法には,筋緊張の緩和やリラクゼーションなどの身体的ケア,安心感や信頼関係などの精神的ケア,心の支えであること,日常生活の援助,老化に対するケアなどが求められていることが解った。そして作業療法士は,相談しやすい相手としての役割を果たしていることが解った。