抄録
本研究は,要介護高齢者の家族介護者が日常生活を送る上で経験する「Hassles(日々の苛立ち)」のQOLに対する影響について明らかにすることを目的とした。A,B,C県の訪問看護ステーションを利用する家族員705名を対象に,家族介護者と要介護者の基本属性,家族介護者のDaily Hassles,主観的QOLについて回答を求めた。調査項目に欠損値のない168名のデータを使用し,第一に,家族介護者のDaily Hasslesを測定する尺度の開発を行い,その信頼性と妥当性が良好であることを確認した。第二に,家族介護者のDaily Hasslesと主観的QOLの関連性を分析した結果,Daily Hasslesの経験頻度が高い者ほどストレス強度が強く,さらにストレス強度が主観的QOLを低下させていることが示された。家族介護者のQOL低下の予防には,介護を代替するマンパワーの確保が重要なことが示唆された。