抄録
【⽬的】先⾏研究から,思春期⼥性の低⽤量ピル使⽤に関して,社会はどのように認識しているのかを明らかにする.【⽅法】⽂献検索は,「医中誌web」(1983年3 ⽉〜2018 年3 ⽉)を⽤いた.検索ワードは「思春期,10 代⼥性,未成年,若年⼥性」の4 つと「低⽤量ピル,経⼝避妊薬,ピル」の3つを掛け合わせた.総検索数は239 件.産婦⼈科領域でない76件を除いた163件の本⽂を確認し抽出作業をした.医学的研究のみの⽂献,緊急避妊ピルのみの⽂献,思春期とピルの内容の記載がない,かつ,性やピルに関する社会の認識について記載がない⽂献を除外した.抽出作業後35 件を得た.【結果】思春期⼥性の低⽤量ピル使⽤に関する社会の認識は,時代で3 つに分類された.1980 年代は,そもそもセックスについて語ることを是としない価値観がある,⽇本⼈の⾃然観健康観からピルを躊躇する傾向がある,と⾔われ即ち【語らせない社会;ピルの躊躇】であった.2000 年代は,性の望ましい価値観の育成,思春期から⼥性主体の避妊法(ピル)の普及が望まれる,と⾔われ即ち【性に向き合う社会;ピルの肯定】であった.2010 年代は,思春期⼥性が⽣涯を⾒通しライフプランの⾃⼰実現のためのピルを利⽤する,と⾔われ即ち【性の⾃⼰決定社会;ピルがQOL に貢献】であった.【考察・結語】性に関する社会の捉えの変化に伴い,思春期⼥性の低⽤量ピル使⽤の認識に関して,社会の認識は著しい変化を経たことが明らかにされている.