抄録
【背景】産褥1 か⽉時点で⺟乳育児を継続できている⺟親は約半数という報告がある.国内外には⺟乳育児⽀援に関する様々な指標(以下,指標)があるが,⽀援の具体的内容には⽂化的差異があり,⽇本⼈の⺟親が⺟乳育児を継続していく上で求めている⽀援が実際に提供されているのかは不明瞭である.【⽬的】産褥早期に提供される⺟乳育児⽀援が各指標に沿っているのか,また,実際に提供されている⺟乳育児⽀援の内容が,⺟親の求めている⽀援内容と合致しているのかを明らかにする.【⽅法】20 ⽂献を対象に⽂献検討を⾏った.【結果】指標で扱われている全項⽬を網羅的に⽀援に取り⼊れている実践例はなかった.また,⺟親が求めている⽀援内容には,⺟乳栄養,授乳⽅法に関する⽀援の他,エモーショナルサポートを希望していた.【考察】⺟乳栄養,授乳⽅法に関する⽀援も重要だが,⽇本⼈⼥性の特徴としてエモーショナルサポートを希望していた.また,指標で扱われている⺟乳育児⽀援を網羅的に取り⼊れていないことが,⺟乳栄養の継続が困難となる要因となっている.⺟児の相互作⽤を⽀えながら,エモーショナルサポートをすることは,⺟乳育児を⾏う上で⺟親の⾃信につながり,⺟乳育児を主体的に継続することが可能となるといえる.【結語】⽇本⼈の⺟親の⺟乳育児⽀援は,様々な指標の項⽬を補いつつ,知識,技術⾯,⼼理⾯をバランスよく⽀援をすることが推奨された.