日本保健科学学会誌
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作業療法⼠は⾼齢者の健康に対しどのような作業と環境との検討をしているのか
太⽥ 智之橋本 美芽
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キーワード: ⾼齢者, 環境整備, 作業療法
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2018 年 21 巻 Supplement 号 p. 37

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抄録
【⽬的】環境への不適応により,⽇々の作業に困難が⽣じている,またはそれが予測される⾼齢者の健康に対し,作業療法⼠がどのように関与しているのかを明らかにする.【⽅法】医中誌Web にて統制語「(環境OR 住宅OR環境デザインOR社会環境OR家庭環境)AND ⾼齢者AND 作業療法AND 健康」の検索式で,2008-2017 年における原著⽂献を抽出した.⽂脈ごとにコード化した後,意味ごとにカテゴリー化した.【結果】40 編が抽出され,分析対象は11 編であった.質的研究は7 編(エスノグラフィ:1 編,事例研究:3 編,⽐較分析:1 編,その他:2 編),量的研究は4 編(横断研究:2 編,ランダム化⽐較試験:1 編,⽐較研究:1 編)であった.合計62のコードが得られ,カテゴリー化した結果「作業と環境とのバランスをとりながら維持・発展させる」「作業を介在させた内的環境と外的環境との統合」「, 作業を遂⾏するための環境の⾒極め」「内的環境への働きかけ」,「外的環境への働きかけ」が最終的に⼤カテゴリーとして命名された.【考察】作業療法⼠は,意味のある作業や⽣活⾏為への従事が健康につながることを前提とし,これらが遂⾏可能な具体的環境を整備していた作業や⽣活⾏為を介在させ,内的・外的環境の相互作⽤を促すことで環境の統合を図っていた.【結語】作業療法⼠は,⾼齢者の状況に応じ「作業を実現する⼿段としての環境」と「環境を統合する⼿段としての作業」とを意識的に使い分けていた.
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