2019 年 22 巻 1 号 p. 22-33
本研究では,ある元実業団所属のマラソン選手がマラソン競技という仕事から,アスリートクラブの経営という新たに満足のいく仕事をするまでの,仕事に付加している意味(仕事の意味)と仕事を通して得たもの(仕事の機能)の変化の理解や過去の仕事とのつながりを探索することを目的とした.ある元実業団所属のマラソン選手に半構造化イ ンタビューを行い,質的分析を行った.分析の結果,満足のいく仕事をするまでに,“過去の意味と機能を土台にした変化によるつながり”,“過去の機能を統合し新たな意味へ発展させるという変化によるつながり”,“一旦喪失した意味と機能を取り戻すという変化によるつながり”があったことが理解された.