Journal of Hard Tissue Biology
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原著
ヒト歯髄組織における骨形成タンパク質の発現
伊藤 勝敏荒川 俊哉村田 勝田隈 泰信有末 眞
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2007 年 16 巻 4 号 p. 199-204

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抄録

歯髄は近年、硬組織や神経組織の再生に利用可能な生物資源として注目されるようになってきた。本研究では、ヒト歯髄におけるBMPのmRNAとタンパク質の発現状態を調べた。成人の第三大臼歯から摘出した歯髄の全RNAを用いてRT-PCRをおこなったところBMP-2, -4, -6, -7 mRNAの発現が認められた。加えて硬組織関連遺伝子であるalkaline phosphatase (ALP), osteocalcin (OCN), osteopontin(OPN), dentin sialoprotein (DSP), およびdentin matrix protein 1(DMP1), ImRNAの発現も認められた。一方、歯髄のSDS溶解液に対し抗BMP-2抗体を用いて免疫ブロット解析したところ、分子量50kDaのメインバンドと、32ないし16kDaの位置にマイナーバンドが現れた。そこでFLAG標識したBMP-2の融合タンパク質を発現するプラスミドを構築し、COS-7細胞に発現させた。COS-7細胞のSDS溶解液は、抗FLAG抗体と抗BMP-2抗体を用いた免疫ブロット解析の結果、どちらも62kDaにメインバンドが検出された。これらの結果は、抗BMP-2抗体がヒトBMP-2を特異的に認識すること、そして生理的なヒト歯髄組織において、BMP-2の大部分は分子量50kDaの高分子量前駆体として存在することを示唆している。そこでFLAG標識したBMP-2の融合タンパク質を発現するプラスミドを構築し, COS-7細胞に発現させた。COS-7細胞のSDS溶解液は、抗FLAG抗体と抗BMP-2抗体を用いた免疫ブロット解析の結果、どちらも62kDaにメインバンドが検出された。これらの結果は、抗BMP-2抗体がヒトBMP-2を特異的に認識すること、そして生理的なヒト歯髄組織において、BMP-2の大部分は分子量50kDaの高分子量前駆体として存在することを示唆している。

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© 2007 硬組織再生生物学会
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