Journal of Hard Tissue Biology
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16 巻, 4 号
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原著
  • —病歴と生検の病態·病理所見から—
    久場 兼一郎, 片桐 正隆
    2007 年 16 巻 4 号 p. 157-171
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究はインプラント術の質的向上を目的として以下のような予後判定システムのプロトコルを提案した。片桐(2002年)の提案による腫瘍の有無により症例を大別し,以下のbiopsy factor·5items(B1~B5)を抽出し,それぞれのポイントを4段階(0~3)のスコアで判定した。
    B1: インプラント周囲炎(非特異的反応)の有無と程度
    B2: 重大な感染やアレルギーを疑う特異的反応の有無と程度
    B3: インプラント周囲上皮関与の有無と程度
    B4: 骨の吸収·破壊の有無と程度
    B5: インプラント不安定化の有無と程度[但し,臨床的な安定状態のkey pointには骨性被包が線維性被包より優位か否かによって判定した]
    なお,判定に必要な染色方法の選択には経済性を考慮し,一般形態染色にはHE染色とAzan染色が,真菌や一般細菌にはPAS反応とGrocott染色が,上皮や免疫担当細胞などの確認には免疫染色 (AE1/AE3) が有効であった。
  • —透照効果による非破壊的齲蝕検知法のin vitroにおけるシミュレーションシステム—
    久場 兼裕, 片桐 武美, 片桐 正隆
    2007 年 16 巻 4 号 p. 173-184
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究は齲蝕検知の改善と予後や予防を含む齲蝕治療の質的向上を目的に,片桐(1980)の考案した多目的歯科用(K式)内視鏡のlight guideによるスポット光を暗視野域と明視野域で応用する透照的齲蝕検知法の有用性を検証するために,第二乳臼歯を被検歯として,以下の透照効果による有用な知見を得た。
    1.被検歯の質的変化に伴う光の照射と入射条件の違いによる効果像は(1)一般的反射像(明視野域で,前面から照射角0~20°未満で無影灯単独照射),(2)変則的反射像(中間域で,前面から20~45°未満でスポット光単独照射),(3)一般的透照像(暗視野域で,裏面から0~20°未満で入射),(4)I型・変則的透照像(中間域で,前面から45~90°未満で照射),(5)II型·変則的透照像(無影灯下の明視野域で,裏面から45~90°未満で入射)に大別できた。
    2.I型・変則的透照像は透照像の他に変則的反射像と類似の効果像を発現し,II型・変則的透照像は変則的反射像の他にI型よりも弱い透照的効果を発現し,ともに有用な照明効果像であった。
  • —透照的齲蝕検知法に回転切削器具と超音波切削器具を連動したシステム—
    土井 美麻子, 片桐 武美, 片桐 正隆
    2007 年 16 巻 4 号 p. 185-194
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    齲蝕は保存的修復の対象となり,その拡大·進展に伴い,歯髄炎や歯周炎の原因ともなり,相互に関連の深い危険因子を共有する多因子疾患であるともいえる。これらの疾患は乳歯列期と混合歯列期から始まり,一部の急速に進行する場合を除いて,その多くは永久歯列期以後に慢性化し,歯を喪失して無歯顎に至るまでの長期間に拡大·進展する。狭い口腔内で一般的に用いられている回転切削器具は,反射が遅れる老人や,逆に不用意に活発に動く小児では舌,口唇,歯肉,頬,口底などの口腔粘膜を損傷するリスクが高い。この問題を改善するために,回転切削器具に超音波切削器具を加え,多目的K式歯科用内視鏡のライトガイド部を応用して得られる透照効果による非破壊的齲蝕検知法を併用するシステムを考案し,in vitroのモデル実験を行った結果,臨床に有用な知見が得られたので報告する。
  • —微小部X線回析法による研究—
    諏訪 武利, 寒河江 登志朗, 中田 浩史, 小林 喜平
    2007 年 16 巻 4 号 p. 195-198
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    インプラント周囲の微小部領域における新生骨の経時的な結晶度についてImaging Plate-Micro-X-ray diffraction(以下IP-Micro-XRD)により分析を行っていたところ,新生骨においてCaCO3(カルサイトおよびアラゴナイト)の存在が認められた。そこで今回、インプラントを埋入していない正常なウサギ脛骨の皮質骨をIP-Micro-XRDにより分析を行ったところ、正常なウサギ脛骨の皮質骨においてもCaCO3(カルサイト)が19ポイントの測定点において認められた。皮質骨においてカルサイトの存在が確認されたことは、骨におけるCaCO3の存在の議論を再吟味する必要性が示唆された。
  • 伊藤 勝敏, 荒川 俊哉, 村田 勝, 田隈 泰信, 有末 眞
    2007 年 16 巻 4 号 p. 199-204
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    歯髄は近年、硬組織や神経組織の再生に利用可能な生物資源として注目されるようになってきた。本研究では、ヒト歯髄におけるBMPのmRNAとタンパク質の発現状態を調べた。成人の第三大臼歯から摘出した歯髄の全RNAを用いてRT-PCRをおこなったところBMP-2, -4, -6, -7 mRNAの発現が認められた。加えて硬組織関連遺伝子であるalkaline phosphatase (ALP), osteocalcin (OCN), osteopontin(OPN), dentin sialoprotein (DSP), およびdentin matrix protein 1(DMP1), ImRNAの発現も認められた。一方、歯髄のSDS溶解液に対し抗BMP-2抗体を用いて免疫ブロット解析したところ、分子量50kDaのメインバンドと、32ないし16kDaの位置にマイナーバンドが現れた。そこでFLAG標識したBMP-2の融合タンパク質を発現するプラスミドを構築し、COS-7細胞に発現させた。COS-7細胞のSDS溶解液は、抗FLAG抗体と抗BMP-2抗体を用いた免疫ブロット解析の結果、どちらも62kDaにメインバンドが検出された。これらの結果は、抗BMP-2抗体がヒトBMP-2を特異的に認識すること、そして生理的なヒト歯髄組織において、BMP-2の大部分は分子量50kDaの高分子量前駆体として存在することを示唆している。そこでFLAG標識したBMP-2の融合タンパク質を発現するプラスミドを構築し, COS-7細胞に発現させた。COS-7細胞のSDS溶解液は、抗FLAG抗体と抗BMP-2抗体を用いた免疫ブロット解析の結果、どちらも62kDaにメインバンドが検出された。これらの結果は、抗BMP-2抗体がヒトBMP-2を特異的に認識すること、そして生理的なヒト歯髄組織において、BMP-2の大部分は分子量50kDaの高分子量前駆体として存在することを示唆している。
  • 長瀬 あゆみ, 寒河江 登志朗, 佐藤 由紀江, 佐藤 勇
    2007 年 16 巻 4 号 p. 205-208
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    従来診断などルーチンでの菌種の同定は、培養結果(選択培地等)、PCR法などにより行われている。しかし、研究では迅速性が必要であり、専門的に高度に熟練した技術を必要としない分析法を検討した。口腔内細菌を嫌気性環境で培養し、従来報告されていないRaman分析法によるスペクトル分析を行い、菌種同定に有効な測定結果が得られたのでここに報告する
  • 沼田 靖子, 寒河江 登志朗, 中田 浩史, 諏訪 武利, 小林 喜平, 佐藤 勇
    2007 年 16 巻 4 号 p. 209-213
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は、合成リン酸カルシウム、hydroxyapatiteおよびインプラントを埋入したラビットの骨組織をRaman分光器にて分析し、Raman分光器による硬組織中の微量成分の検出の可能性を探索することである。合成リン酸カルシウム(monobasic calcium phosphate, dibasic calcium phosphate, tribasic calcium phosphate)、 hydroxyapatiteおよびインプラントを埋入したラビットの骨を本研究の分析試料とした。3種類の合成リン酸カルシウムおよびhydroxyapatiteの測定において、従来硬組織の研究に使用されてきたX線回折では特定できなかった各々の物質に固有のRamanbandsを得ることが出来た。さらに、インプラントを埋入して6週後のウサギ脛骨において、インプラント周囲の新生骨と、既存骨のPO43-に3cm-1の差異が認められた。Raman分光器は1cm-1の精密な分解能を有するため、ここで得られた差異は、既存骨と新生骨との骨質の差異を意味している。よってRaman分光器は硬組織研究領域の一端を担う手法として重要な役割を持つと考えられる。
  • 諏訪 武利, 寒河江 登志朗, 中田 浩史, 沼田 靖子, 佐藤 勇, 大塚 誠
    2007 年 16 巻 4 号 p. 215-217
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/28
    ジャーナル フリー
    われわれは高齢ラットの骨をMicro-XRDにより分析を行っていたところ、興味ある結果を得たので報告する。試料は96週齢の大腿骨とし、コントロールは8週および48週後の大腿骨とした.測定は合計10点を1,800sec行った.96週齢の骨の結晶はコントロールと比較して、ピークの出ない部位が多く、結晶の悪い部位が多かった。
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