2021 年 4 巻 1 号 p. 133-156
本論文では、EBPM(Evidence-based Policy Making)が企図する「政策そのものの合理化」と、「政策過程の合理化」について、公共政策学が提示している論点を検討し、以下の含意が得られた。具体的には、①EBPMを推進する上で、公共政策の立案及び実施に関係するコンテクストを理解する必要があること、②EBPMを実現する上で、政策過程の内実を理解しなければならないこと、③政治に含まれている価値や構想力が重要であること、④EBPMは知識活用だけでなく知識創出にも関わっているため、社会をどのように捉えるかという点においても強い影響力をもち、よりラディカルなテクノクラシーを招来する可能性があること、の四つである。