日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
Online ISSN : 2435-7952
原著論文
降下性壊死性縦隔炎22症例の検討
川口 加那川北 大介的場 拓磨尾崎 慎哉三矢 昭治森部 一穂岩﨑 真一
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2021 年 1 巻 1 号 p. 35-41

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抄録

降下性壊死性縦隔炎(以下,DNM)は,抗菌薬投与を含めた全身管理と迅速かつ的確な外科的介入が必要となる重症感染症である。2008年4月から2019年4月までに入院加療を行った22症例につき検討した。内訳は男性12例,女性10例,年齢は41歳から85歳(中央値61歳)であった。9例に糖尿病を認めたが,13例には免疫低下を引き起こす基礎疾患は認めなかった。DNMは抗菌薬治療に加え外科的ドレナージが重要となる。まず22例全例で頸部切開排膿が行われ,縦隔ドレナージはType Iでは10例中2例,Type IIAは3例中1例,Type IIBは9例中7例で行われておりすべて胸腔鏡下手術であった。進展度に応じたアプローチが必要であるが,低侵襲で適切な位置でのドレナージが可能である胸腔鏡下縦隔ドレナージはDNMに対し有用であると考えられた。また初回手術のみでは治癒に至らず複数回外科的治療を行った症例も認め,CT検査を用いて適切に術後評価を行うことが肝要と考えられた。

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© 2021 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
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