2021 年 1 巻 3 号 p. 129-133
扁桃病巣疾患に関する本教室の基礎的,臨床的検討の結果を概説する。本疾患群の病因として,常在細菌や内在するDNAに対して扁桃が過剰免疫応答を起こし,ホーミング受容体を介した扁桃T細胞の病巣への遊走,IgAを含めた免疫グロブリンの量的,質的産生異常が背景にあり,扁桃を原因とした自己免疫・炎症疾患症候群(tonsil induced autoimmune/inflammatory syndrome:TIAS)であると考えられる。TIASを構成する疾患において扁桃摘出術の効果は高く,耳鼻咽喉科を紹介された症例において,積極的に手術を勧めることが望まれる。