日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
Online ISSN : 2435-7952
総説
生物と無生物の間に存在する好奇心をくすぐるもの
吉崎 智一
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キーワード: 生物, ウイルス, 複製, 進化
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2021 年 1 巻 3 号 p. 143-145

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抄録

宇宙誕生から130億年,地球誕生から46億年,最も原始的な生物誕生から30億年が経過した。現在,コンセンサスが得られている生物の定義におけるキーワードは自己複製と代謝である。この定義に基づくとウイルスは特定の生物との間に密接な相互作用を示すにもかかわらず生物とはいいがたい。それともウイルスを生物か無生物のどちらかに分類すること自身に無理があり,意味のないことなのかもしれない。ウイルスというと悪役のイメージが強いが,例えば哺乳類の胎盤の獲得など,生物の進化に果たしてきた役割は大きい。ウイルスの誕生から今日に至るまでの道のりを縦糸とし,生物と無生物,自己と非自己,病原性と共生,など免疫,アレルギー,感染症的視点を横糸として,本学会で取り扱うテーマの学術的側面を深く考察する。

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© 2021 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
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