2023 年 3 巻 1 号 p. 35-40
結核性頸部・縦隔膿瘍の1例を経験した。患者は25歳の男性で,3年以上前にベトナムから来日していた。CTで上位胸椎の骨破壊を認め,脊椎カリエスに由来すると考えられた。造影CTでは頸部から縦隔にかけて多数のリング状造影効果領域と両頸部のリンパ節腫大を認めた。Th2椎体の骨破壊およびTh1,4,5椎体前面の骨吸収像を認めた。生検で乾酪壊死物質を含む膿汁を認め,結核PCRが陽性となり,結核性頸部膿瘍および縦隔膿瘍と診断した。外切開排膿ドレナージと抗結核薬による治療を行い再発なく経過している。