日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
Online ISSN : 2435-7952
原著論文
当科で経験した好酸球性多発血管炎性肉芽腫症14症例の検討
花田 有紀子奥野 未佳河辺 隆誠川島 佳代子
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2024 年 4 巻 3 号 p. 151-156

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抄録

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:以下EGPA)は,従来はChurg Strauss症候群やアレルギー性肉芽腫性血管炎と呼ばれていた疾患で,主要臨床所見としては(1)先行する気管支喘息またはアレルギー性鼻炎,(2)血中の好酸球増加,(3)血管炎による発熱や体重減少,多発性単神経炎が挙げられる。厚生労働省指定難病の一つで,予後不良の症例も散見されるため早期の診断および治療が望ましい。鼻症状が先行するケースがあり,我々耳鼻咽喉・頭頸部外科医にもEGPAに関する専門的知識が求められる。2017年4月から2022年12月の期間に当科を受診したEGPA 14症例について,患者背景,診断時の検査所見,治療などに関して後方視的に検討を行った。患者は中年の女性に多く,全例で気管支喘息と副鼻腔炎を合併していた。14例中4例で気管支喘息症状より鼻症状が先行し,先に耳鼻咽喉・頭頸部外科を受診していた。全例で末梢血中の好酸球は著明に増加しており,着目すべき所見と考えられた。血管炎症状のうち皮膚症状・神経炎症状・筋痛の出現頻度が高く,早期に認められた。これらの症状を認め,血中の好酸球数増加を認めた際にはEGPAを念頭に診療を行う必要があると考える。

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