抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎性中耳炎(otitis media with ANCA-associated vasculitis: OMAAV)は,ANCA関連血管炎(AAV)の一病態として発症する自己免疫性中耳疾患であり,MPO-ANCA陽性例が約60%,PR3-ANCA陽性例が約20%,ANCA陰性例が約20%存在する。本稿では,OMAAVの診断と治療に関する現状を概説する。AAVの分類や診断基準としてEMEAアルゴリズム,厚生労働省の診断基準,2022ACR/EULAR分類基準が用いられるが,MPO-ANCA陽性OMAAVの分類には課題が残る。特に,ANCA陰性例や肺・腎病変を伴わず耳病変に限局した症例の診断は困難であり,OMAAV診断基準の活用が有効である。ANCA陰性例では,鑑別疾患を慎重に除外した上で,必要に応じてグルココルチコイド(GC)への反応を確認する診断的治療を実施することもある。治療においては,AAVに準じ,GCとリツキシマブまたはシクロホスファミドによる寛解導入が標準治療とされる。2022年には選択的C5a受容体拮抗薬であるアバコパンが登場しGCの使用量の減量および副作用の軽減が期待されている。これらの診断のプロセスと治療方針を踏まえ,OMAAVに対する適切な管理戦略の構築が重要である。