2025 年 5 巻 2 号 p. 71-77
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis with nasal polyps: CRSwNP)の中には内視鏡下鼻副鼻腔手術を実施しても,術後再発をきたし,鼻閉や嗅覚障害のコントロールが困難となる症例を経験する。抗IL-4/13受容体抗体であるデュピルマブは,鼻閉や嗅覚障害などの術後の再燃症状を抑制する薬剤として期待されている。今回われわれは,2020年7月から2024年6月にCRSwNPの術後再発した症例のうちデュピルマブが適応と考えられた30例について,デュピルマブ導入の有無および臨床効果を検討した。デュピルマブ導入の有無決定後,6ヵ月以上観察できた対象は27例で,そのうち17例でデュピルマブが導入となった。デュピルマブが適応であったが非導入となった10例のうち2例は経過中に手術を行った。全体の平均観察期間は,27ヵ月であった。検討項目は治療前と治療後24週,最終受診時点での鼻茸スコア,鼻閉スコア,嗅覚障害スコア,後鼻漏スコア,日常のにおいアンケート,末梢血好酸球比率,Lund-Mackay CT画像スコア(CTスコア),ステロイド経口内服の有無,有害事象である。デュピルマブを導入した症例では,平均観察期間が31.1ヵ月であった。鼻茸スコア,鼻閉スコア,嗅覚障害スコア,後鼻漏スコア,日常のにおいアンケート,CTスコアは統計学的に有意に改善した。デュピルマブはCRSwNPの術後再発例に対して,自覚症状および局所所見に改善効果を示し,ステロイド全身投与量を減らすことができた。さらに,注意すべき有害事象への対応法についても文献的考察をした。