耳鼻と臨床
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II. 頸部リンパ節手術―口腔癌N0症例について―
舌癌 T2N0 症例の頸部リンパ節の取り扱いについて
朝蔭 孝宏岸本 誠司斉川 雅久林 隆一川端 一嘉林崎 勝武土井 勝之吉積 隆丹生 健一白根 誠中谷 弘章菅澤 正浅井 昌大長谷川 泰久冨田 吉信鬼塚 哲郎古川 まどか甲能 直幸門田 伸也西嶌 渡西條 茂松浦 一登北村 守正藤井 隆中島 格
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2009 年 55 巻 Suppl.1 号 p. S45-S54

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抄録

目的:舌癌 T2N0 症例における適切な頸部の取り扱いを明らかにすること。対象・方法:厚生労働省がん研究班の参加多施設における舌癌 T2N0 症例 180 例を対象に retrospective に検討を行った。結果:潜在的頸部リンパ節転移を 32%の症例に認めた。転移の部位としては患側の顎下・オトガイ下、上・中深頸部領域が大半を占めた。これらの潜在転移は腫瘍の厚みが 6 mm 以上の症例で有意に多かった(p=0.03)。予防的頸部郭清術施行例では術後頸部リンパ節転移は有意に少なかったが (p=0.03)、死因特異的生存率に有意差を認めなかった。考察:もし予防的頸部郭清術を施行するとすれば腫瘍の厚みが 6 mm 以上の症例に対して、患側の supraomohyoid neck dissection を施行するのが妥当と考えた。しかしその意義についてはなお検討の余地があると考えた。

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© 2009 耳鼻と臨床会
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