耳鼻と臨床
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II. 頸部リンパ節手術―口腔癌N0症例について―
センチネルリンパ節生検と頸部郭清術
松塚 崇三浦 智広横山 秀二鈴木 政博國井 美羽岡野 渉鈴木 亮池田 雅一鹿野 真人大森 孝一
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2009 年 55 巻 Suppl.1 号 p. S55-S62

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抄録

当科では不要な郭清を減らすことを目指して 2000 年よりセンチネルリンパ節 (SN) 生検に関する研究を行っており、舌癌 N0 症例にSN 生検を施行している。これまでに25 症例に対しSN 生検を行い、その後の経過を検討した。SN 同定率は 100%であった。トレーサーの種類により検出されるSN の個数は変化した。25 例中 5 例 (20%) はSN に転移を認めた。術後後発転移は 2 例あった。この 2 例は顎下部再発で、転移リンパ節はトレーサー注入部に近かった。鉛板でトレーサー注入部と探索部を遮蔽したところ、後発転移は認めなくなった。SN の検出はいったん方法を習得すれば難易度は高くなく、信頼性の高い検査であるといえる。SN 生検で陽性の 5 例全例においてSN 以外のリンパ節に転移を認めなかったが、頸部再発が 2 例に認められた。2 例とも舌リンパ節転移と考えられる口腔底粘膜下の再発であった。SN 陽性の場合、進行例に準じた治療を考慮すべきである。

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© 2009 耳鼻と臨床会
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