抄録
静的な平衡機能の検査ではとらえ難い異常を検出するために、能動的回転後の平衡機能検査を考案した。健常人 35 人、前庭神経炎罹患後の代償期にある患者 12 人を対象とした。左右下肢別に重心動揺を把握することが可能な重心動揺計を用いて、正面直立姿勢から後方に振り向いた際の重心動揺と荷重の変化について検討した。結果 : 健常人では回転方向が利き足でも非利き足でも同等の結果が得られ、回転方向による差はなかった。前庭神経炎患者は回転側の最大荷重負荷が有意に大きく、対側の最小荷重負荷が有意に小さかった。前庭神経炎患者は健常人と比べ患側回転で対側の軌跡長、外周面積が有意に長かった。これまで静止した姿勢の平衡機能検査では異常所見が得られなかった症例にも、回転負荷を与えることと、回転側の下肢、対側の下肢それぞれの軌跡長や外周面積を測定することで、微細な平衡機能異常が検出される可能性が推測された。