耳鼻と臨床
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原著
めまい疾患を持たない人の赤外線 CCD カメラ下の眼振
佐野 希久子久保 和彦調 重昭小宗 静男
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2010 年 56 巻 4 号 p. 157-161

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抄録

赤外線 CCD カメラは、注視を除外した状態での眼振観察が可能であり、電気眼振計と違ってどんな体位であっても検査可能であり、ビデオなどの記録装置に接続すると記録と再現ができるため、多くの耳鼻咽喉科に導入されている。しかし感度が非常に良すぎるために、正常人でも眼振が観察される場合があるとの報告がある。めまい疾患を持たない人でも CCD カメラ下に眼振を認めると、めまい診療における CCD カメラ下の眼振の持つ意味が不明瞭となる。そこで今回われわれは、めまい疾患を持たない人で、かつ、めまいの訴え、既往がない人で、CCD カメラ下に眼振を認めるかどうか検証した。結果は 50 名中 35 名に何らかの眼振を認め、めまい疾患を持たない人の眼振検出率は 70%であった。性差は認められなかったが、年齢が高いほど眼振出現率は高かった。赤外線 CCD カメラ下の眼振は、必ずしも異常な眼振とは限らないことが示唆された。

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© 2010 耳鼻と臨床会
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