抄録
気管内挿管後に生じた声帯突起部癒着症の 2 症例を経験した。症例 1 は 73 歳、女性で、肺塞栓による心肺停止後救命処置により気管内挿管を施行された。症例 2 は 56 歳、女性で、交通外傷による内臓損傷にて気管内挿管を施行された。いずれも挿管チューブの抜去困難があり気管切開を受けていた。他院耳鼻咽喉科にて両声帯麻痺の診断を受けていたが、喉頭ファイバー所見にて声帯突起部癒着症と診断した。治療は喉頭直達鏡下にCO2レーザー切除術を施行し、術後早期から発声、嚥下を促した。いずれも再癒着を認めず、気管切開部を閉鎖し病前の生活に復帰できた。本邦における声帯突起部癒着例の報告は少ないが、両側声帯麻痺と診断されている症例がある可能性もあると思われる。両側声帯麻痺と声帯突起部癒着症では対応が全く異なり、声帯突起部癒着症では癒着部を切除するだけでほぼ正常の喉頭機能に回復できるため、診断が極めて重要である。声帯突起部癒着症例の治療経過呈示と声帯突起部癒着症に関する分類、原因、治療法などについて文献的考察を加えた。