育種学雑誌
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イネにおけるトビイロウンカ抵抗性の新しい遺伝子
根本 博池田 良一金田 忠吉
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1989 年 39 巻 1 号 p. 23-28

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抄録
IKEDA(1985)はバイオタイプによる再検索と既知遺伝子をもつ品種を用いた検定交配によってトビイロウンカ抵抗性品種の遺伝子型を推定し,新しいトビイロウンカ抵抗性遺伝子をもついくつかの外国品種を発見した.本報では,そのうち未同定の劣性1遺伝子をもつCol.5Thailand(69-5),Col.11Thailand(69-11)およびChinsaba(190004)と,未同定の優性1遺伝子をもつBalamawee(70-518),Kaharamana(70-505)およびPokkali(70-189)を用いて,トビイロウンカ抵抗性遺伝子の対立性検定をおこなった.優劣各抵抗性遺伝子ごとに3品種間の交雑をおこない,雑種後代におけるトビイロウンカ抵抗性の分離を調べた.劣性遺伝子をもつ3品種間の交雑では,F1,F2,F3世代における感受性個体の出現が極めて低く,これらの3品種の劣性遺伝子は同じ遺伝子座にあると推定された.また,優性遺伝子をもつ3品種でもF2世代の検定で感受性個体がほとんどみられず,これらの品種の優性遺伝子も同じ遺伝子座にあると推定された.このトビイロウンカ抵抗性に関する劣性遺伝子をbph8(t),優生遺伝子をBph9(t)それぞれ命名した.
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