抄録
2005 年以降、福岡大学病院耳鼻咽喉科にて治療を施行した患者で、放射線治療を導入した症例に対しては、粘膜炎に伴う疼痛緩和のためのオピオイド投与を積極的に行っている。今回、早期喉頭癌 Stage I または Stage II 患者で放射線治療を施行した症例より、2008 年以降の直近に治療を行ったオピオイド導入後群 20 例と 2004 年以前に治療を行ったオピオイド導入前群 20 例を抽出し、治療内容を比較検討した。オピオイド導入後群、 オピオイド導入前群ともに多くの症例で照射期間中に鎮痛薬を投与されていたが、オピオイド導入後群では、その使用開始時期が均てん化される傾向にあった。また、照射休止はオピオイド導入後群では 20 例中 2 例 (10%)であったが、オピオイド導入前群では 20 例中 14 例 (70%) であり、オピオイド導入後群での照射休止症例の有意な減少を認めた。これらの結果から、オピオイドを含めた疼痛緩和対策が治療を円滑に進める一因になると考えられた。